卓球

「神様にこんなタイミングでいじわるされるとは…」早田ひなが、涙の銅メダル。試合開始5分前、”決死の覚悟”明かす【パリ五輪】

THE DIGEST編集部

2024.08.03

シン・ユビンとの激闘を制し、涙を流した早田。悲願の銅メダルを獲得した。(C)Getty Images

 悲願のメダルに涙が止まらなかった。

 現地8月3日、パリ五輪は卓球の女子シングルス3位決定戦が行なわれ、世界ランク5位の早田ひなが、同8位のシン・ユビン(韓国)を4-2で下し、銅メダルを獲得した。日本勢では、21年東京五輪の伊藤美誠に続き、2大会連続となった。

 文字通り、満身創痍だった。前日は中国の最強女王・孫穎莎にストレートに完敗。左の前腕部には黒いテーピングが施されていた。この日は目立たないベージュで隠していたが、決して万全の状態でないのは明らかだった。

 序盤は持ち味であるパワフルなフォアが出せず、際どいコースを突きながら対応。高く投げ上げたサーブで緩急をつけて耐えた。第3ゲームから強度を上げ、激しいラリーで応酬する場面もあり、最後は韓国卓球界の逸材をねじ伏せた。
 
 早田は試合後のインタビューで、「昨日の試合で腕を痛めてしまって、そのギャップで現実を全然受け入れられないままプレーしてしまった。今日も練習の時は同じような感じだったんですけど、最後はドクターに注射を打ってもらって。もしかしたら行けるかもという感覚まで戻ってきたので。自分を信じて戦うしかなかったです」と話し、痛み止めを打つ決死の覚悟で臨んだことを明かした。

 早田は続けて、「試合に入る5分前までは、自分が100%できるとしたら20%、30%の力をどうやって出して戦うかという感じだった。そこから5分前の注射で、自分の感覚が100%ぐらいまで戻ってきた。そこからは後悔しないように、1ゲーム1ゲームやってました」と話した。

 金メダルを目指して臨んだ大会だったが、思いもしない負傷に苦しんだ「神様に、こんなタイミングでいじわるされるとは思ってもいなくて…」と話すと、言葉を詰まらせ涙を流す場面も。「日本の皆さんが本当に最後まで支えてくださって。私がプレーできるところまで持ってきてくれたので。どんな結果になっても、最後までやり続ける、そして銅メダルを皆さんに見せられたらいいと思って頑張りました」と胸を張った。

 東京五輪は補欠として会場から仲間の戦いを見届けることしかできなかった。そこから努力を積み重ね、日本のエースとして表彰台を死守した。

構成●THE DIGEST編集部

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