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水泳

「最適な環境ではなかった」金メダルの豪競泳選手が選手村の環境に不満。元世界王者は“パフォーマンス低下”の要因に「最悪な食事」を指摘【パリ五輪】

THE DIGEST編集部

2024.08.06

豪州のティトマスが選手村の環境について不満を示唆した。(C)Getty Images

豪州のティトマスが選手村の環境について不満を示唆した。(C)Getty Images

 劣悪な環境がパフォーマンスに影響を与えたのだろうか。

 現地8月4日、パリ五輪の競泳競技は全日程が終了した。最終日には男子1500メートル自由形と女子400メートルメドレーリレーで世界新記録が樹立し、最後の最後で大きな盛り上がりを見せた。

 しかし、メダリストたちは今大会について、見過ごせない問題点を指摘している。女子400メートル自由形で金メダルに輝いたオーストラリア代表のアリアーン・ティトマスは「もっと良い成績を出せたと思う」と感じており、世界記録を更新できなかった理由に選手村の劣悪な環境が影響していると示唆している。

 同選手は2023年の世界水泳で自らがマークした世界記録(3分55秒38)に僅かに及ばなかったが、見事に1位でフィニッシュ。この種目で3つ目の五輪メダルを獲得した。しかし、彼女はレース後のインタビューで「おそらく、自分が思っていたようなタイムではなかったわ。だけど、選手村に住んでいると、本来のパフォーマンスを発揮するのは難しいの」と気になる発言をした。続けて、「アスリートが競技の準備をするのに最適な環境ではないことは確かね。私たちがいいパフォーマンスをするために作られたものではないのよ」と言及。拠点とする選手村の環境に不満を露わにした。

 大会の組織委員会は今大会を「史上最も環境にやさしい大会」というテーマを掲げ、選手村はセーヌ川沿いに建設された。82棟約7200室が配備され、エアコンの代わりに水冷システム、詰め替え可能なカップ、さらには段ボール製のベッドで生活する「環境重視」の施設になっている。

 ところが蓋を開けてみれば、利用者からはクレームが続出。食事は野菜中心で肉料理が不足し、選手たちからは「最悪」との酷評も。追い打ちをかけるように、開幕直後には施設内で複数の窃盗事件も報告され、一部の日本人選手が結婚指輪を盗まれるなど、セキュリティー体制が問題視されている。
 
 元オーストラリア代表で100メートル自由形の世界王者にして、オリンピックで3個のメダルを獲得したジェームズ・マグヌッセン氏はティトマスの発言について、理解を示している。同氏は母国の日刊紙『News Corp』に、「選手村の食事が選手たちのパフォーマンスと、健康を妨げた可能性がある」と痛烈に指摘。「これまでの競技のパフォーマンスを見ていると、今回のオリンピックは世界記録を出すには最も厳しい環境のひとつだったかもしれない」と私見を述べた。事実、今大会の世界記録は冒頭に記した2つに加え、男子100m自由形の3つのみと、確かに少なかった。

 別の競泳選手も施設環境に不信感を抱いている。100m背泳ぎで金メダルに輝いたイタリア代表のトマス・チェッコンは母国のテレビ局に対し、「部屋はエアコンがなくて、とても暑いし、食べ物もまずい。だから、多くのアスリートが引っ越してるんだ」と暴露。芳しくない環境に嫌気が差していることが伝えられている。

 パリ五輪は後半戦に突入している。選手村でのストレスが競技に影響を与えないことを願うばかりだ。

構成●THE DIGEST編集部

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