現地8月6日、パリ五輪のレスリング女子50キロ級が行なわれ、東京五輪金メダリストの須﨑優衣が1回戦に登場。インドのビネシュ・ビネシュと対戦し、2点をリードしながら最終盤に相手の圧力に屈し、バックをとられる衝撃の逆転負けを喫した。
第1ピリオドで2点を先取した須﨑。このまま絶対女王が初戦を順調に突破…と誰もが思った終盤に悪夢が待っていた。第2ピリオド、残り20秒でビネシュが猛プレッシャーを仕掛けた。須﨑は必死に耐えるが、ラスト10秒でついに押し切られてそのままバックをとられ2ポイントを献上。須﨑側はチャレンジ(ビデオ判定)を要求したが判定は覆らず、ビッグポイントにより失意の逆転負けとなった。
須﨑は試合後のインタビューで「何が起きたのか分からなかった」と号泣。「いろんな人に支えてもらってここまでやってきたんですけど、私1人じゃなくてみんなの努力を無駄にしてしまったので、本当に申し訳ない気持ちです」と、涙ながらにわびた。
日本勢の金メダル候補ナンバー1だった女王の初戦敗退には、日本女子レスリング界のレジェンドも悲痛な表情で見つめていた。2004年アテネ大会から16年リオデジャネイロ大会まで、前人未到の女子レスリング五輪4連覇を達成した伊調馨さんはNHKのスタジオ解説者として出演。涙のインタビューに伊調さんは「申し訳ない」という言葉に触れ、「選手はそういう(言葉が)出てしまう。お世話になった方や応援してくれる方がいる中で金メダルを取りたいと思っている。だから、負けてしまい『申し訳ない』という言葉が出てしまう」と話し、五輪連覇を逃した後輩の気持ちをおもんぱかった。
伊調さんは試合を振り返るとまず、「前半は最初に組み合ったときに相手の力強さを感じて、攻めづらいと感じたと思う。(第1ピリオド)最後タックルでいったが、時間がなくてとりにいかなかったのか、後半に勝負をかけようと思ったのでは」と分析し、「前半で2点を取りたかった」と鋭く指摘。大舞台で4度も頂点に立った女王は、第1ピリオドの戦い方に問題があったと言及した。
続けて、相手が体力をできる限り温存して、終盤に勝負をかける戦略だったと話したうえで、「(須﨑は)攻めにいく気持ちはあったと思うが、勇気を持って入れ込めなかった」とカウンターを警戒して前にいきづらかったとし、「相手を崩すのがパターンとしてあるが、彼女の足が止まってプレッシャーがかけられていなかった。相手は圧を感じないので、ロースコアのままで試合を進められると思った」と相手の心理を考察。完全にビネシュの術中にはまってしまったと嘆いた。
伊調さんは終盤で痛恨のポイントをとられた場面について、「2-0でリードしていたとはいえ、最後こういうこともありえる。3点差にしておくことが重要だった。自分から攻めてポイントを取ることで、彼女の流れにいけた」と、慎重になって攻めにいけなかったことが敗因につながったと論じた。
五輪連覇の道が潰え、悲嘆に暮れた須﨑だったが、このあと思いもしないチャンスが巡ってくる。彼女に勝利を収めたビネシュが決勝まで進出を果たしたことで、前回女王は現地7日に実施される敗者復活戦の出場権をゲット。銅メダルを懸けたラストチャンスの切符が転がり込んだ。
10年間負けなしで、外国人相手に94連勝中と無敵を誇ったまま乗り込んだパリの地で失意の敗北を喫した須﨑。東京五輪金メダリストとして、最後に意地を見せられるだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
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須﨑は試合後のインタビューで「何が起きたのか分からなかった」と号泣。「いろんな人に支えてもらってここまでやってきたんですけど、私1人じゃなくてみんなの努力を無駄にしてしまったので、本当に申し訳ない気持ちです」と、涙ながらにわびた。
日本勢の金メダル候補ナンバー1だった女王の初戦敗退には、日本女子レスリング界のレジェンドも悲痛な表情で見つめていた。2004年アテネ大会から16年リオデジャネイロ大会まで、前人未到の女子レスリング五輪4連覇を達成した伊調馨さんはNHKのスタジオ解説者として出演。涙のインタビューに伊調さんは「申し訳ない」という言葉に触れ、「選手はそういう(言葉が)出てしまう。お世話になった方や応援してくれる方がいる中で金メダルを取りたいと思っている。だから、負けてしまい『申し訳ない』という言葉が出てしまう」と話し、五輪連覇を逃した後輩の気持ちをおもんぱかった。
伊調さんは試合を振り返るとまず、「前半は最初に組み合ったときに相手の力強さを感じて、攻めづらいと感じたと思う。(第1ピリオド)最後タックルでいったが、時間がなくてとりにいかなかったのか、後半に勝負をかけようと思ったのでは」と分析し、「前半で2点を取りたかった」と鋭く指摘。大舞台で4度も頂点に立った女王は、第1ピリオドの戦い方に問題があったと言及した。
続けて、相手が体力をできる限り温存して、終盤に勝負をかける戦略だったと話したうえで、「(須﨑は)攻めにいく気持ちはあったと思うが、勇気を持って入れ込めなかった」とカウンターを警戒して前にいきづらかったとし、「相手を崩すのがパターンとしてあるが、彼女の足が止まってプレッシャーがかけられていなかった。相手は圧を感じないので、ロースコアのままで試合を進められると思った」と相手の心理を考察。完全にビネシュの術中にはまってしまったと嘆いた。
伊調さんは終盤で痛恨のポイントをとられた場面について、「2-0でリードしていたとはいえ、最後こういうこともありえる。3点差にしておくことが重要だった。自分から攻めてポイントを取ることで、彼女の流れにいけた」と、慎重になって攻めにいけなかったことが敗因につながったと論じた。
五輪連覇の道が潰え、悲嘆に暮れた須﨑だったが、このあと思いもしないチャンスが巡ってくる。彼女に勝利を収めたビネシュが決勝まで進出を果たしたことで、前回女王は現地7日に実施される敗者復活戦の出場権をゲット。銅メダルを懸けたラストチャンスの切符が転がり込んだ。
10年間負けなしで、外国人相手に94連勝中と無敵を誇ったまま乗り込んだパリの地で失意の敗北を喫した須﨑。東京五輪金メダリストとして、最後に意地を見せられるだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
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