壮絶な減量の実態が明らかになった。

　現地８月６日、パリ五輪のレスリング女子50キロ級１回戦が行なわれ、五輪連覇を狙った須﨑優衣がインドのビネシュ・ビネシュに敗れ、初戦敗退となった。しかし、決勝まで進出したビネシュが体重超過により「失格」になったと大会公式サイト上で電撃発表された。

　まさに青天の霹靂である。７日（日本時間８日の未明）に実施される決勝まで勝ち上がったビネシュは須﨑との試合前の計量はクリアしていたが、決勝の日の計量で50キロの制限を100グラムほど超過していたという。

　金メダルに王手をかけながら、まさかの当日失格となったヒロインに母国メディアからは悲嘆の声が上がっている。インドの英語ニュースチャンネル『Times Now』の電子版は「ビネシュは金メダル決定戦の朝に失格となり、悲痛な結末を迎えた。彼女は何も手にせずに帰国することになる」との一報を伝えた。

　さらに同メディアによると、ビネシュが体重を減らすためにあらゆる手段を尽くしたと報じており、「彼女は眠れない夜を過ごし、食べ物も水も摂取しなかった。さらに体重を減らすために髪の毛まで切った」と過酷な減量に衝撃を受けている。
  　ビネシュ陣営の関係者によると、彼女の通常体重は57キロで、50キロまで落とすためにあらゆる努力をしたとのこと。「昨日の朝は49.9キロだったが、少し食べた瞬間に体重が53キロまで戻った。３試合戦う力をつけるためにこの体重にならなければならなかった。昨夜の準決勝後、彼女の体重は52.7キロでした。彼女は１分も眠らず、水は一口も飲まず、食べ物さえ一口も食べませんでした。一晩中走ったりサウナに入ったりして過ごしました。体重は50.1キロまで減りましたが、最後の100グラムを落とす時間がありませんでした」と、壮絶な一部始終を明かす。

　続けて「余裕も、体重を減らすための時間もあまりありませんでした。彼女は110グラム超過だった。彼女は髪まで切ってみたが、ほとんど変化はなかった」と、最終手段で髪を切ったが願いは叶わなかったという。

　ビネシュは2016年リオ五輪準々決勝で負傷し、メダルを逃した。21年の東京五輪でも再び敗北を喫し、今大会は50キロ級に階級を下げる決死の覚悟で臨んだ。１回戦で対外国人に94連勝中と無敵を誇り、金メダル候補ナンバー１だった須﨑の無敗記録を止める大金星を挙げた。海外実況からは「最大のサプライズだ」と、その番狂わせに驚愕。大きな注目を浴びていた。

構成●THE DIGEST編集部

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