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体操

「フランスは間違いなく敗北者」“決別した”仏系アルジェリア選手が金メダル「チームに迎え入れたかった」仏体操連盟が後悔【パリ五輪】

THE DIGEST編集部

2024.08.07

体操女子の種目別段違い平行棒で金メダルを獲得したアルジェリアのカイリア・ネムール。(C)Getty Images

体操女子の種目別段違い平行棒で金メダルを獲得したアルジェリアのカイリア・ネムール。(C)Getty Images

 現地8月4日に行なわれた体操女子の種目別段違い平行棒で、アルジェリアの17歳カイリア・ネムールが金メダルを獲得した。この結果に後悔しているのが、フランス体操連盟だという。仏メディア『RMC Sport』が伝えた。

【画像】五輪公式がネムールの金メダルを祝福!

「段違い平行棒で15.700という成層圏のスコアでチャンピオンになったネムールは、類まれな才能を全世界に示した。アルジェリアにとっては計り知れない喜びだが、フランス体操連盟の心境は複雑だ」

 体操競技でアルジェリアとアフリカ史上初の金メダルを獲得したネムールは、2006年12月30日にフランス中部の町サン=ブノワ=ラ=フォレで生まれた。体操クラブの会長を務めるフランス人の母とアルジェリア人の父のもと、幼少期から体操を楽しみ、抜群の空中感覚で頭角を現わした。

 ジュニア時代からフランス大会でチャンピオンとなり、19年にイタリアで開催された地中海選手権では個人総合、種目別の段違い平行棒、平均台で金メダル。団体では銅メダルを獲得した。

 順風満帆のキャリアは、21年に転機を迎える。重度の骨軟骨炎で2度の膝の手術を受けたネムールは、7か月のリハビリを終えて、外科医から競技復帰の許可を得た。しかし、フランス体操連盟は膝の状況がトップレベルの競技に耐えられないと判断。さらに負傷の原因は所属体操クラブでの過度のトレーニングが原因ではないかと疑い、指導者の代表コーチ権を剥奪してクラブが有する州トレーニングセンターの地位も無効としたのだ。

 この頃にフランス体操連盟が新たなトレーニングガイドラインを発表。五輪出場希望選手に、パリ郊外のヴァンセンヌかフランス南東部のサンテティエンヌにある国立スポーツ専門パフォーマンス研究所の施設での練習を義務付けた。しかし、ネムールは故郷の体操クラブでの練習を一貫して希望。両者の間にはずれが生じていた。
 
 こうした問題を解決してパリ五輪に出場する手段として、ネムールは国際体操連盟の同意を得て、父の祖国アルジェリア代表に競技国籍を変更すると決断。故郷の体操クラブでトレーニングを行ないながら、五輪出場を目指した。

 ここでフランス体操連盟の横やりが入る。競技国籍を変更する場合、以前の体操連盟の許可が必要となるが、フランス体操連盟はネムールの競技国籍の変更を拒否。ネムールは1年間の公式戦不参加を強要された。

 それでも23年5月、アルジェリア代表選手の資格を正式に得たネムールは、アフリカ選手権の個人総合で金メダルを獲得。23年10月にベルギーで開催された世界選手権では、種目別段違い平行棒で銀メダルを手にした。24年3月にドイツとアゼルバイジャンで行なわれた体操ワールドカップでも、段違い平行棒で表彰台の真ん中に立っている。

 そして迎えたパリ五輪で金メダルを獲得。これを受けてフランス体操連盟のテクニカルダイレクターは、「ネムールの成功を幸せに思う。彼女は素晴らしい選手であり、フランスの体操チームに迎え入れたかった」と声明を出した。

 しかし、同メディアは「それぞれの当事者に非があるものの、フランス体操連盟は間違いなく大きな敗北者」と記載。続けて、「自分たちの判断がネムールを別の国旗の選手にした。テクニカルダイレクターは、“ネムールを拒否した”または“ネムールを追放した”という解釈を否定している。また一連の経緯について、“対話の必要性があったが、それが存在しなかった”とも語った」と伝えている。

構成●THE DIGEST編集部

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