3年前の東京オリンピックで歴代最多となる58個のメダルを獲得した日本だが、今夏のパリでも8月8日の時点で33個(金13、銀7、銅13)を獲得し、全体のランキングで7位につけている。
大会序盤からメダルラッシュを展開し、各競技で勢いを感じさせた日本勢。その一方で非常に静かな状況なのが競泳だ。同競技は8月4日で全日程を終了しているが、メダルに手が届いたのは、男子400m個人メドレーで2位に入った松下知之だけだった。
米国の水泳競技専門誌『SWIMMING WORLD』は、かつての「水泳王国」の沈黙に注目。「3年前、開催国でありながら日本は水泳でわずか3つのメダルしか獲得できず、大いに失望をもたらしたが、今回はさらに悪い結果となり、彼らが手にしたのは水泳競技全105個のメダルのうちのわずかひとつだった。これは非常に深刻な結果だが、さらに彼らのパリでの苦戦を強調する統計として、男子は7人、女子は3人しか個人種目の決勝に進出できなかった」と、その低迷ぶりを伝えている。
「実際のところ、日本が今夏に大きな成果を上げることは期待されていなかったものの、それでももう少し良い成績を期待されており、複数のメダルを獲得できるのではないかとの希望があった。しかし日本は停滞し、ライバルたち―-フランス、イタリア、カナダ――が追い越していった」
同メディアは、世界選手権で3年連続のメダル獲得を果たし、パリでのメダル有力候補とされながらも、緊張を理由に自己ベストを約4秒も下回るタイムで22位に沈んで予選準決勝にすら進めなかった本多灯を「最大の失敗者」と厳しく評し、他にもベテランの松元克央、東京五輪の金メダリストである大橋悠依に対しても、期待を裏切った選手として言及した。
そして、「日本は大きな岐路に立っている。直近2回の五輪での成績は、2000年以降で最悪であり、11個のメダルを獲得した2012年ロンドン大会のレベルには遠く及ばない。かつて北島康介が支配した平泳ぎや、入江陵介が一貫して活躍した背泳ぎのような、強力な武器が今の日本にはない」と指摘し、今後に向けての悲観的な見解を示している。
「日本が希望を取り戻せるかどうかは、大きな疑問だ。通常、開催国になった国は、その大会でパフォーマンスが向上し、次の大会にもその勢いを引き継いでいくものである。今回のパリでは、そのシナリオがフランスに持ち込まれ、レオン・マルシャンが中心となって強力なパフォーマンスを発揮した同国は、4年後にも良い流れを持ち込むことができそうだ」
「開催国でありながら不調に終わり、今回はさらに悪い方向に進んだ」という日本だが、全く明るいニュースがなかったわけではないとして、前述の松下については「2023年世界ジュニア選手権の金メダリストである19歳は明らかに、萩野公介や瀬戸大也が引き継いできた日本のメドレーの伝統を守る存在」と期待を寄せ、100mバタフライで7位の平井瑞希にも「この17歳には明るい未来が持っている」と綴った。
ただ、同メディアは彼らだけでは十分でないとして、「日本にとって鍵となるのは、他にも多くの優れた人材を見つけられるか否かである。もしそれができなければ、『日出ずる国』の競泳界は、このまま沈んでいくだろう」と指摘して、記事を締めている。
構成●THE DIGEST編集部
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米国の水泳競技専門誌『SWIMMING WORLD』は、かつての「水泳王国」の沈黙に注目。「3年前、開催国でありながら日本は水泳でわずか3つのメダルしか獲得できず、大いに失望をもたらしたが、今回はさらに悪い結果となり、彼らが手にしたのは水泳競技全105個のメダルのうちのわずかひとつだった。これは非常に深刻な結果だが、さらに彼らのパリでの苦戦を強調する統計として、男子は7人、女子は3人しか個人種目の決勝に進出できなかった」と、その低迷ぶりを伝えている。
「実際のところ、日本が今夏に大きな成果を上げることは期待されていなかったものの、それでももう少し良い成績を期待されており、複数のメダルを獲得できるのではないかとの希望があった。しかし日本は停滞し、ライバルたち―-フランス、イタリア、カナダ――が追い越していった」
同メディアは、世界選手権で3年連続のメダル獲得を果たし、パリでのメダル有力候補とされながらも、緊張を理由に自己ベストを約4秒も下回るタイムで22位に沈んで予選準決勝にすら進めなかった本多灯を「最大の失敗者」と厳しく評し、他にもベテランの松元克央、東京五輪の金メダリストである大橋悠依に対しても、期待を裏切った選手として言及した。
そして、「日本は大きな岐路に立っている。直近2回の五輪での成績は、2000年以降で最悪であり、11個のメダルを獲得した2012年ロンドン大会のレベルには遠く及ばない。かつて北島康介が支配した平泳ぎや、入江陵介が一貫して活躍した背泳ぎのような、強力な武器が今の日本にはない」と指摘し、今後に向けての悲観的な見解を示している。
「日本が希望を取り戻せるかどうかは、大きな疑問だ。通常、開催国になった国は、その大会でパフォーマンスが向上し、次の大会にもその勢いを引き継いでいくものである。今回のパリでは、そのシナリオがフランスに持ち込まれ、レオン・マルシャンが中心となって強力なパフォーマンスを発揮した同国は、4年後にも良い流れを持ち込むことができそうだ」
「開催国でありながら不調に終わり、今回はさらに悪い方向に進んだ」という日本だが、全く明るいニュースがなかったわけではないとして、前述の松下については「2023年世界ジュニア選手権の金メダリストである19歳は明らかに、萩野公介や瀬戸大也が引き継いできた日本のメドレーの伝統を守る存在」と期待を寄せ、100mバタフライで7位の平井瑞希にも「この17歳には明るい未来が持っている」と綴った。
ただ、同メディアは彼らだけでは十分でないとして、「日本にとって鍵となるのは、他にも多くの優れた人材を見つけられるか否かである。もしそれができなければ、『日出ずる国』の競泳界は、このまま沈んでいくだろう」と指摘して、記事を締めている。
構成●THE DIGEST編集部
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