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フィギュア世界王者が今季解禁された“バックフリップ”を披露して優勝も、カナダスケート連盟が異議「競技中はアリか、ナシか?」

THE DIGEST編集部

2024.10.29

GPファイナル一番乗りを決めた米国のマリニン。カナダ大会で披露した技が波紋を呼んでいる。(C)Getty Images

GPファイナル一番乗りを決めた米国のマリニン。カナダ大会で披露した技が波紋を呼んでいる。(C)Getty Images

 世界王者が演技中に披露した”危険な技”が小さくない物議を醸している。

 現地10月27日、フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第2戦カナダ大会は男子フリーが行なわれ、昨年の世界選手権で初の金メダルに輝いたイリア・マリニン(米国)がフリー195.60点をマークし、合計301.82点で優勝。開幕戦のアメリカ大会に続くGP連勝を収め、同シリーズの成績上位6人で争うGPファイナル(フランス・グルノーブル)への進出を一番乗りで決めた。

 ショートで唯一100点台と貫録の演技で首位発進したマリニン。自身の代名詞である大技・4回転アクセルは封印したものの、フリーで圧倒的な強さを見せつけた。

 冒頭の4回転フリップは回転不足と判定されたが、続くトリプルアクセルを華麗に決めると、3つ目の4回転ルッツはGOE(出来栄え点)3.78点と高い加点が付いた。4回転の予定だったループが3回転になるミスはあったが、後半は高さと幅のあるダイナミックなジャンプを次々と披露する。さらにスピンは最高評価のレベル4を獲得するなど、スケーティング技術はグンと向上。昨シーズンからの進化を示した世界王者が2位以下に40.66点差をつける盤石の演技で優勝を掴み取った。
 
 開幕2戦で早くも12月のGPファイナル進出を決めたマリニン。表彰台の真ん中で笑顔が弾けた王者は、実はカナダの観客を大きく沸かせたパフォーマンスを披露している。

 重厚な曲調が大きく盛り上がった終盤、体を激しく動かしながら情熱あるステップを踏んだあと、マリニンは後ろを向きながら勢いよく助走をつけて、なんと豪快なバックフリップ(後方宙返り)を敢行。今季から正式に解禁されたアクロバティックな技をバシッと決めると、観客は「おおおおお!!」と大歓声が上がり、世界王者に大きな拍手を送ったのだ。

 国際スケート連盟(ISU)も、この歴史的な瞬間に興奮を隠せなかった。公式SNSにマリニンの華麗なバックフリップ写真を添えて、「イリア・マリーニンがGPスケートカナダで金メダルに輝いた! ハリファックスでクワッドゴッド(マリニンの愛称)が忘れられない演技を披露し、圧倒的なリードで勝利を収め、ISUグランプリファイナルへの出場権を獲得した最初のスケーターとなった!」とレポート。世界王者が繰り出した技に賛辞を贈った。
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