F1第20戦のメキシコ・グランプリで、ビザ・キャッシュアップ・RB（以下RB）の角田裕毅は、スタート直後の接触によるクラッシュでリタイアを余儀なくされている。

　初日の２度のフリー走行でいずれも３番手に入る好調ぶりを示し、予選でもQ３進出は確実かと思われたが、Q２のラストアタックでフロントタイヤがロックしてスピン、クラッシュで車を傷めてしまった。それでも11番グリッドからのスタートということで十分にポイント獲得の可能性はあったものの、アレクサンダー・アルボン（ウィリアムズ）との接触であっけなくレースは終了してしまった。

　７戦連続で入賞を逃す悔しい結末を迎えた角田は、「もし本来のペース通りに予選で良い位置にいれば、あの場面にはいなかったでしょう」としてQ２でのスピンを悔やんだが、順調に進んでいた彼のレースウィークエンドがあの場面で狂い始めたという見方は間違っていないだろう。
  　そんな彼について、F１の公式サイト『F1.com』は「メキシコシティでの５人の勝者と敗者」と題した記事で、「敗者」に選定したRBに言及する中で、「RBはメキシコで中団のトップ争いに絡んでおり、昨季この地で見せた強いパフォーマンスを彷彿とさせた。角田もフリー走行で好調だったが、予選ではスタジアムセクションの入り口でクラッシュして赤旗中断を引き起こし、チームメイトのリアム・ローソンもQ３進出に十分なタイムを出す機会を失った」と綴り、チーム全体にとって痛いスピンだったことを強調した。

　各国メディアも、今回の角田の予選には厳しい見解を示しているが、一方で決勝のアルボンとの接触については、当事者や関係者たちが認めたように、ほとんどが角田に非はないと見ているようだ。英国のF1専門サイト『PLANETF1.COM』は「角田には、レース終了に繋がったこのインシデントを避ける方法はほとんどなかった」と綴っている。

　同国のモータースポーツ専門サイト『TOTAL MOTORSPORT』は、「予選では僅差でチームメイトを上回った角田は、決勝でも非常に良いスタートを切った。ターン1までの走行中に典型的なレーシングインシデントの被害者となった」と、こちらも角田にとってはもらい事故だったと断定した。