F１第20戦のメキシコ・グランプリでは、母国レースに臨んだセルジオ・ペレス（レッドブル）とビザ・キャッシュアップ・RB（以下RB）のリアム・ローソンによる激しいバトルが物議を醸すこととなった。

　18番グリッドからスタートして追い上げを見せていたペレスは、18周目にローソンを追い抜こうとしたが、復帰後２戦目の22歳は譲ることなく、ターン４、５の複合コーナーで接触。前者はコースオフし、フロアとサイドポッドにダメージを負って、最終的に17位に終わり、後者もフランコ・コラピント（ウィリアムズ）との接触もあり、こちらも入賞圏外の16位でチェッカーフラッグを受けている。

　ペレスはこのインシデントの後に無線で「馬鹿者」と若いニュージーランド人ドライバーを罵り、ローソンは後にメキシコ人の先輩に先行を許す際に中指を立てて応戦。レース後にはメディア等を通して、「ローソンには謙虚さが必要だ。先週も２度の世界王者（フェルナンド・アロンソ／アストンマーティン）に説教を受けていたが、彼は完全に無視していた」（ペレス）、「彼はラップの半分で僕をブロックし、レースを台無しにしようとした」（ローソン）と、互いの言い分をぶつけ合った。

　のちに非礼なジェスチャーについては謝罪したローソンが、レッドブルからホスピタリティに呼び出されて叱責を受け、こういった行為によってポイントを失うことがどれほどチームに損害を与えるかを改めて説かれたことが明らかになっている。

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  　レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、この件について「同じグループでも、レッドブルとRBは独立してレースをしており、互いに競り合っている」と両ドライバーに理解を示した上で、「リアムは謝罪したようであり、この件から教訓を得るだろう。もっとも、チェコ（ペレス）にとっては腹立たしいことであり、彼はこれで貴重なポイントを失ってしまった」と語った。

　一方、英国のモータースポーツ専門誌『MOTORSPORT』は、ペレスのローソンに対する怒りの背景には「自身のシートを狙うローソンという不気味な存在に、明らかにプレッシャーを感じている」ことがあると指摘。「同じルーキーでも、もしコラピントと接触していたなら、これほど感情的にはならなかったのではないだろうか」とも綴っている。

　ペレスが深刻な不調に陥っており、その去就についてはネガティブな予測がなされていることは周知の通りで、母国レースでも前述のインシデントに見舞われたとはいえ、下位フィニッシュという結果はチーム首脳陣を失望させ、ホーナー代表は「チームとして彼を全力でサポートするが、いつか限界が訪れることもある」と、ドライバー交代の可能性を示唆した。