競馬

日本馬に襲い掛かる大物外国馬3頭の実力をジャッジ。大将格・オーギュストロダンのリアルな適性は?【ジャパンカップ/前編】

三好達彦

2024.11.23

ディープインパクト産駒のオーギュストロダンが父親も制覇したジャパンCに参戦する。(C)Getty Images

 今年で44回目となる国際招待競走、ジャパンカップ(GⅠ、芝2400m)が11月24日、東京競馬場で行なわれる。

 日本馬のレベルアップや、香港国際競走の台頭などで海外馬が避ける傾向にあった近年のジャパンカップだが、今年は欧州から掛け値なしの大物が複数参戦してくる。そこで本稿では、まず海外馬3頭のプロフィールをご紹介し、その能力と日本競馬への適性を占ってみたい。

 3頭のうち一番の注目を集めるのは、やはり父ディープインパクトのラストクロップ(最終世代の産駒)であるオーギュストロダン(牡4歳/愛・A.オブライエン厩舎)だろう。

 オーギュストロダンは、アイルランドを本拠地とする世界的ブリーディングオーナーグループの『クールモア(スタッド)』が所有するロードデンドロン(その父ガリレオ)を日本のノーザンファームへ預託。ディープインパクトを種付けし、受胎を確認したのちに帰国して、クールモアスタッドにて生産(出産)されたアイルランド産のディープインパクト産駒。母は欧州のG1レースを3勝している名牝で、クールモアがいかに種牡馬ディープインパクトに大きな期待を寄せていたかが分かろうというものだ。

 現在までの通算戦績は15戦8勝。そのうちG1レースの勝利には、2歳時(22年)のフューチュリティトロフィーステークス(英、芝1600m)、3歳時(23年)の英ダービー(芝2400m)、愛ダービー(芝2400m)、愛チャンピオンステークス(芝2000m)、ブリーダーズカップ・ターフ(米、芝2400m)、そして今年のプリンスオブウェールズステークス(英、芝約2000m)と計6つもあり、欧州中距離路線のトップクラスを形成する1頭であることは言を俟たない。
 
 気になる馬場適性だが、ひとつの物差しとして挙げたいのは昨秋のブリーダーズカップ・ターフ。このとき「良」馬場(現地では「Good to Firm」、「堅良」と訳される)で叩き出した2分24秒30はかなり速いもので、斤量が55.5㎏と軽量ではあったものの、日本の高速馬場への対応能力は十分に秘めていると言っていいだろう。

 逆に気がかりなのは、英2000ギニーが12着、23年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークス(英G1、芝約2400m)が10着、ドバイシーマクラシックが12着と(すべてG1)、ちょくちょくポカがあることか。前二つは道悪(「重」と「稍重」)が理由と捉えることも可能だろうが、「良」で行なわれたドバイでの惨敗は説明するのが難しい。必ずしもコンスタントな力を発揮するタイプではなく、信頼性にはやや疑問符が付く…そう考えておくべきだろう。

 なお、オーギュストロダンはジャパンカップ当日の東京競馬場の最終レース終了後、父の母国で引退セレモニーを行なう予定となっている。これは外国馬としては初めてのことだ。
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オーギュストロダン以外の外国勢の評価は?