競馬

「来るなら来い」レモンポップを信じ、有終の美に導いた坂井騎手の手綱さばきに感服。急襲ハナ差2着ウィルソンテソーロ陣営は王者の強さに脱帽【チャンピオンズカップ】

三好達彦

2024.12.02

逃げたレモンポップ(奥)がウィルソンテソーロ(8番)の猛追をハナ差で抑え、連覇を飾った。写真:産経新聞社

 12月1日、秋のダート王を決めるチャンピオンズカップ(GⅠ、中京・ダート1800m)が行なわれ、1番人気のレモンポップ(牡6歳/美浦・田中博康厩舎)が昨年に続いて2連覇を達成。引退レースの花道を自らの快走で飾った。2着には2番人気で昨年2着のウィルソンテソーロ(牡5歳/美浦・小手川準厩舎)がハナ差で入り、3着には昨年も3着だった9番人気のドゥラエレーデ(牡4歳/栗東・池添学厩舎)が入着。2年連続で1~3着が同じというのは平地GⅠ史上初めてのことだった。

 まず注目されたのは、レモンポップの出方だった。昨年は好スタートを決めると、外枠から内へ大きく切れ込みながら決然と先頭を奪ってマイペースに持ち込んで逃げ切り勝ちにつなげた。対して今年は逃げて好成績を収めてきたミトノオー(牡4歳/美浦・牧光二厩舎)に先頭を譲るのか、それとも競り合いになるのか、ひいてはペースがどうなるのか。最初のホームストレッチでの攻防がレースの行方を占う重要なポイントとなった。
 
 そして本番。互角のスタートを切った2頭だが、内の2番枠から飛び出したレモンポップが先んじるが、11番枠から出たミトノオーも鞍上に手綱をしごかれて競りかける。ミトノオーはレモンポップを交わし切れなかったため、最初のコーナーに入るところで引いて外の2番手に収まったために、レモンポップが先頭に立ってマイペースに持ち込んだ。これが結果として重要なポイントとなった。

 3番人気のペプチドナイル(牡6歳/栗東・武英智厩舎)は3番手で本命馬をマークし、4番人気のサンライズジパング(牡3歳/栗東・音無秀孝厩舎)とウィルソンテソーロは馬群のなかで9~10番手付近を追走。5番人気のガイアフォース(牡5歳/栗東・杉山晴紀厩舎)はダッシュがつかず、大外16番枠からのスタートということもあって、馬群の外々を回らされる苦しい展開となった。

 逃げたレモンポップが刻んだラップは、1000mの通過が1分00秒8という平均ペース。昨年の本レースで記録したラップタイムと0秒1しか違わないことからも分かるように、彼にとってはマイペースであり、大外枠からポジションを取るまでに脚を使った昨年に比べればスタミナの消耗も少ない分、より有利なペースと言える。

 そして迎えた直線。レモンポップは後続を突き放すように逃げ脚を伸ばし、楽勝かと思われたが、そこへ中団馬群から外へ進路を取ったウィルソンテソーロが猛追。両者は息詰まるような接戦を演じながら馬体を併せてゴール。写真判定の末、レモンポップがハナ差で勝利を収めていた。
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上位5頭は”内枠”が独占する結果に