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ラグビー

「同期にも言われました。直した方がいいって」V13帝京大を支えた主将・青木恵斗、リーダーとして己に向き合った日々「濃い、1年だったと思います」【大学ラグビー】

向風見也

2025.01.16

主将として帝京大を支えた青木。決勝では力強いゲインを幾度もみせた。写真:産経新聞社

主将として帝京大を支えた青木。決勝では力強いゲインを幾度もみせた。写真:産経新聞社

 青木恵斗が暴れた。

【動画】11月の関東大学対抗戦・帝京大vs早稲田大
 1月13日、東京・秩父宮ラグビー場。身長187センチ・体重110キロの帝京大主将は、4大会連続13度目の大学日本一をかけて大学選手権決勝に挑んでいた。

【動画】11月の関東大学対抗戦・帝京大vs早稲田大
 前半5分の攻防では、フィールドの右端を走った。迫るタックラーをひとり、ふたりと蹴散らし、3人目にもぶちかまし、仲間へ背中越しのパス。先制点をおぜん立てした。

 約7分後には、敵陣ゴール前での連続攻撃から自らフィニッシュした。向こうの反撃で序盤の14点リードを2点に縮められた24分には、電光掲示板付近で観戦する控え部員にもっと応援するよう煽った。

 続く26分頃には、向こうからやってくるランナーに激しく突き刺さって味方のスティール(接点で相手の球に絡むプレー)をアシスト。攻守逆転に繋げた。

 1点を勝ち越されていた後半5分にはゴールポストの目前で突進し、チーム3本目のトライを引き出した。21―15と逆転した。

 以後は、着実に加点しながら耐えた。

 28―15としていた後半30分頃のピンチは、全6フェーズを通して2本のタックルを繰り出した。

 最後もややふらつくそぶりを見せながら、23フェーズもの防御局面をしのいだ。

 早朝からの走り込み、高重量に取り組むウェートトレーニング、日野市内の寮、グラウンド、キャンパスの間を、それぞれ場所の集合時間に間に合うよう約10分から30分以上ずつかけて歩き回る日常の、全ての、成果を活かした。

 33―15。ノーサイドを迎えた。「グラウンドに立ち続ける」という、自身にとっての理想の主将像を全うした。

「最後の大学ラグビー、楽しもう」と晴れやかな顔つきで入場した芝の上で、歓喜の涙を流したのだった。

「濃い、1年だったと思います」

 さかのぼって3年目の冬。最終学年時の主将を決めるミーティングの際、事前に集めたアンケートでは本人こそ「自分に(票を)入れてはいけない」と副将となる李錦寿を推したものの、開票すればほぼすべての票が自分に集まっていた。

 議題は「誰を主将にするか」ではなく「1年時から主力の青木新主将を周りがどう支えるか」になった。
 
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