2025年初陣を豪快な一発で飾った。

　１月24日、プロボクシングの世界スーパーバンタム級４団体統一戦が東京・有明アリーナで行なわれ、王者・井上尚弥がWBO同級11位の代役挑戦者キム・イェジュン（韓国）と対戦した。井上が４回に戦慄の右ストレートが飛び出す衝撃のKO葬（２分25秒）でリングに沈め、３度目の防衛に成功した。井上はこれでプロ通算戦績29戦29勝（26KO）まで伸ばし、ついに大台の30連勝に王手。今年は米国・ラスベガス、サウジアラビアなど海外でのビッグマッチ開催を表明している無敵のボクサーが弾みをつけた。
【画像】衝撃の４回KOで３度目の防衛成功！キム・イェジュンを撃破し25年初陣を勝利で飾った井上尚弥の厳選ショット！

　モンスターがモンスターたる強さを誇示した。１回は静かな立ち上がりだったが、２回から井上が手数を出していき、相手にプレッシャーをかけながら鋭く重い右パンチを顔やボディにあてる。一方、千載一遇のチャンスを得たキムは左構えからのカウンターを井上の顔面に打ち込み反撃する。

　終始、キムとの距離をつめていく井上がコーナーに追い込む展開が続き、左右のワンツーをボディにあてる。そしてギアを上げた４回だ。井上が下から上へパンチを打ち、多彩な攻撃でダメージを蓄積させる。そして井上の強烈な右ストレートがキムの顔面を的確に捉えると、韓国人ボクサーは膝から崩れ落ちて苦悶の表情。キム陣営は試合続行不能と判断し、タオルが投入される衝撃の幕切れとなった。
  　当初はIBF、WBO世界スーパーバンタム級１位サム・グッドマン（オーストラリア）と対戦する予定だったがグッドマンの度重なる負傷により試合が１か月の延期、中止になった。予期せぬスケジュール変更、決戦13日前に急きょ対戦相手が変わるアクシデントもプラスにして、この日を迎えた井上。貫録のKO勝利は世界戦10試合連続、日本人単独最多となる世界戦通算24勝となった。

　相手との圧倒的な実績差から絶対に負けられないプレッシャーが少なからずあったなか、日本が誇るモンスターはスーパーバンタム級の絶対王者であることを満天下に示した。

取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）

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