格闘技・プロレス

「ボクシングおもしれー」那須川天心がモロニー戦で感じた自身の完成形と“新たな可能性”「伸びしろはまだまだたくさんある」

谷健生(THE DIGEST編集部)

2025.02.25

元世界王者から勝利を挙げた那須川は激闘での気づきを語った。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

 WBOアジア・パシフィック・バンタム級王者の那須川天心(帝拳)は2月24日、有明アリーナ(東京)で前WBO世界同級王者のジェーソン・モロニー(オーストラリア)との119ポンド(約53・98キロ)契約10回戦に臨み、判定勝ちを収めた。

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 那須川は2年前のプロボクシング転向以降、5戦5勝と順調に勝ち星を重ねている。今回対戦したモロニーは昨年5月まで世界王者に君臨していた実力者で、世界タイトルを目指す"神童"にとって、まさに試金石といえる一戦となった。

 那須川は序盤から前世界王者のガードを前に攻めあぐね、逆に強打をもらう場面も。那須川も強烈なアッパーをお見舞いし徐々にペースをつかむと、自慢のフットワークの軽快さで徐々に自分の展開に持ち込む。そして終盤、足が止まったモロニーに対して追い打ちをかけた那須川が、世界挑戦へ向けて重要な勝利を掴んだ。

 試合後、那須川はモロニーに対して「今まで見えなかった可能性を引き出してくれた」「何試合分もの経験をさせてもらった」と感謝の言葉を述べた。距離を取って縦横無尽に動き回るのが自身のボクシングのテーマだったというが、試合中盤にモロニーから左右のパンチをもらった場面で「引くわけにはいかない」と接近戦に応じたことで、自身の新たな可能性に気が付いたという。

「頭を合わせてあんなやることはないと思っていたんですけど、やっちゃいましたよね。初めて打ち合いをしたんですけど、そこで自分の中でも新しい可能性(に気付いた)というか、そこで打ち負けることもなかったし、逆に最後押し返して効かせることもできたので、なんか自分をひとりの男にしてくれたって感じがしましたね」

 今回の試合を通して、「自分のボクシングの型が完成しつつある」と自己評価した一方、「伸びしろはまだまだたくさんある。ボクシングおもしれー!」と自身のポテンシャルに期待が止まなかった。

 プロ通算成績は、那須川が6戦6勝(2KO)、モロニーは31戦27勝(17KO)4敗となった。元世界王者という過去最大の大きな壁を、その拳で打ち破った那須川。神童の"底"はどこにあるのだろうか。

取材・文●谷健生(THE DIGEST編集部)

【動画】那須川天心の強烈アッパーが前世界王者にヒット!
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