格闘技・プロレス

超満員札止めとなった女子プロレス初のワンマッチ興行 ウナギ・サヤカが引退間近の“横綱”里村明衣子に挑んだ意味

橋本宗洋

2025.03.02

女子プロレス界初となるワンマッチ興行で闘った里村(左)とウナギ・サヤカ(右)。

 快挙としか言いようがない。2月16日、後楽園ホールには超満員札止めとなる1603人の観客が集まった。

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 この日、行なわれたのはウナギ・サヤカの3度目の自主興行。昨年1月の初開催では個人の興行で後楽園を満員にして業界を驚かせたが、今回はそれ以上だった。

 対戦カードはウナギ・サヤカvs里村明衣子、この1試合のみ。いわゆる"ワンマッチ興行"である。
 
 女子プロレス界の横綱と呼ばれる里村は4月に引退することが決まっている。ウナギは引退発表を聞いてすぐ、会場を押さえた。そして女子プロレス初のワンマッチ興行という、スペシャルな舞台を整えたのだ。

 スターダム離脱後、フリーとしてさまざまな団体に乗り込み、物怖じしない姿勢でインパクトを残してきたウナギ。今回のワンマッチ興行は、その真骨頂と言えるものだ。

 業界関係者からは、ワンマッチ興行について「自分たちがやろうと思ってたのに」という声もあったそうだ。だがウナギはこう言い放った。

「思っただけでやらねえのがお前ら。やるのがウナギ・サヤカ」

 試合は24分21秒、里村が必殺技スコーピオ・ライジングで勝利した。場外戦で観戦に来ていたレスラー仲間の手を借りたり、ゴムパッチン攻撃を成功させるなど見せ場を作ったウナギ。グラウンドで攻め込む場面もあった。

 しかし"横綱"の壁は分厚い。ウナギの攻撃は"ここでもう一発"というところで寸断されてしまう。ウナギ大健闘、それでも里村の完勝というイメージだ。

 試合前は「10分、いや5分もつのか」とウナギの実力に疑問を投げかけていた里村。だが試合を終えると、こう言ってウナギを称えた。

「私は引退しても、死ぬまでプロレスに人生かける。ウナギからも同じ匂いを感じたな! 私はできる限り、ウナギの夢を一緒に見たい」

 ウナギに「これからはマブダチ」と言われると即座に「いや!」と里村。とはいえ個性が違うからこそ認める部分もあったということだろう。

 対戦前の記者会見で、ウナギから「カタブツ」と言われた里村。だがカタブツだからできることがあり、ウナギにはウナギのやることがあると語った。実力には差がある。性格も違う。それでも里村がウナギを認めるのは、大きな共通点もあるからだ。

「今の女子プロレスを作っていくのは一緒」

 ウナギはリング上で里村にこう語りかけた。
「たくさんの人が"昔のプロレスはよかった"って言う。確かにそうです。でも今、リングの上で生きてプロレスをしてるのは現役のレスラーなんですよ。だから絶対に、何があっても、大きい夢を見て、大口叩いて、先頭で行動して、夢を叶え続けるとお前に誓うよ。"今が一番凄いプロレス"を、これからも一緒に作らせてください」

 ウナギは里村だけでなく井上京子、ジャガー横田、長与千種など何人ものベテラン、レジェンドと闘ってきた。それはプロレスの"今"をぶつける行為だとも言える。今を作り未来を開拓するという意味で、里村明衣子とウナギ・サヤカはかけがえのない"同志"なのだ。

取材・文●橋本宗洋
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