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陸上

北口榛花が漏らした“計測トラブルの裏側”。不運なバハマ選手にかけた五輪女王の気遣い「嫌いにならないでね、また日本に来て」【陸上セイコーGGP】

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2025.05.19

大会連覇を飾った北口。思わぬトラブルでの裏話を明かした。写真:梅月智史(THE DIGEST写真部)

大会連覇を飾った北口。思わぬトラブルでの裏話を明かした。写真:梅月智史(THE DIGEST写真部)

 5月18日、東京・国立競技場で陸上のセイコーゴールデングランプリ(GGP)が行なわれた。女子やり投げ決勝は2024年パリ五輪金メダルの北口榛花が今季自己ベストとなる64メートル16で優勝。9月に同舞台で開催される世界陸上連覇に向けて弾みをつけた。

 ハルカ・スマイルが飛び出した。国内初戦で貫禄の大会連覇を飾った北口は「完璧な形でなくても投げられた。結構ホッとしました」と胸をなで下ろすと、アハハハハと笑い声を響かせた。

 この日は1投目からいきなり60メートル超えを果たして首位に立つと、5投目には観客からの手拍子を力に変えて、この日最高記録をマーク。五輪女王のパワフルな投てきに国立競技場は「おおおお~」とどよめきが起き、大きな拍手でパフォーマンスを称えた。

 実はこの日、予想もしない“トラブル”が起きた。3投目の試技中に、リーマ・オタバー(バハマ)と村上碧海(日体大)の3投目がやり直しになった。日本陸連によると「計測結果に疑義が生じた」という計測トラブル。特に前者は62メートル03でトップに立つはずだったが、記録は幻に。これが響きオタバーの最終結果は4位にとどまった。

 優勝したとはいえ、不運な展開に北口は心を痛めていた。トラブルでの中断中は「長く感じた」と素直な心境を吐露。ただ、「世界大会にトラブルはつきもの。私自身はあまり気にならなかった」と落ち着き、次の試技に集中していた。競技後には、好記録が取り消されたオタバーのもとへ歩み寄り「嫌いにならないでね。また日本に来てねって言いました」と気遣ったことを明かし、「かなりいい記録が表示されて、やり直しになってしまったので」と相手選手への配慮を忘れなかった。
 
 母国開催の世界陸上まで、あと4か月。「うっすら、ちゃんとした像が見え始めたので良かったです。少しずつ(投てきの理想に)近づいてきている」と笑顔を見せつつも、「自分が投げたいのは、60メートルとかそういう記録ではない」と満足はしていない。

 さらなる成長を見据え、競技終了から数時間後には夜便で練習拠点のチェコへ出国する。慌ただしいハードスケジュールにも、持ち前の笑顔で「行ってきます!」と答えた北口。9月の東京でも周囲を明るく照らすハルカ・スマイルを期待せずにはいられない。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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