ダブルハートボンドは昨年の8月にデビューすると、そこからオープンの三宮ステークスまで5連勝。重賞初挑戦となったブリーダーズゴールドカップ(JpnⅢ)こそ2着に敗れたが、11月のみやこステークス(GⅢ)を勝って通算成績を7戦6勝、2着1回としていた。逃げ・先行で見せる優れたスピード能力はもちろんだが、今回見せた競って抜かせない勝負根性は牝馬離れしたものだ。戦前に憂慮された牡馬との初対戦という壁も乗り越えたいま、海外遠征も含めて今後の進路が大いに注目される。
ウィルソンテソーロは本レース3年連続2着という珍しいケースとなった。脚質的に勝ち身に遅いためGⅠ(JpnⅠ)勝ちは2回のみだが、一貫してダートのトップクラスで戦ってきた実力はやはり一級品。前走のJBCクラシック(JpnⅠ)5着からの見事な巻き返しを見ると、7歳を迎える来年もまだまだ勝ち負けに絡んできそうだ。
3着以下は前の2頭にかなりの差を付けられているため、いわゆる格の違いを感じさせられるが、上位入線したなかでは、馬群の狭いところを抜けて追い込んだ4歳のラムジェットに今後の伸びしろがあるように思う。
期待された3歳の上り馬2頭には苦い経験になった。ナルカミは陣営が危惧していたようにレース前からテンションが高く、またシックスペンスに絡まれたため息が入らず、直線の半ばで力尽きた。逃げ一辺倒の脚質をどうするかという問題も含め、メンタルな成長が待たれる。
本レース主力視したルクソールカフェはやはり大外枠が響き、外々を回らされて距離損したうえ、直線では嫌気が差したようにずるずると下がってしまった。こちらも本格化するには、もう少し時間を要しそうだ。
ダート2戦目となったシックスペンスは、掛かり気味にハナにまで行ってしまったのがすべてで、これでは直線の失速も止む無しと言えるもの。しかしこの一戦で見限るのは早計で、来春の定年引退を控える名匠・国枝栄調教師は必ず何らかの手を打って、来年のフェブラリーステークス(GⅠ)までには立て直してくるだろう。
文●三好達彦
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