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ゴルフ

畑岡奈紗は秘かに爪を研ぐ。米ツアー賞金女王、東京五輪の金メダルを狙って【黄金世代の歩み】

山西英希

2020.05.30

 17年から米女子ツアーを主戦場にしている畑岡だが、今季は順調なスタートを切っていた。開幕戦で2位タイに入ると、次戦では単独2位に。賞金ランキングで3位につけている。残念ながら、新型コロナの影響でツアーは中断中だが、再開されれば当然のように優勝争いに絡んでいくだろう。というのも、数字的に大きな変化が見られるからだ。

 デビューした17年はドライバーの飛距離が251・12ヤードだったが、昨年は262・65ヤードと10ヤード以上も伸びている。しかも、フェアウエーキープ率が60・70%から76・16%に上がっている。これは単純に目一杯の力で振ったから飛距離が伸びたのではなく。方向性重視で軽く振っても飛距離が伸びた証拠だ。数年前から続けているトレーニングの成果で体幹や足腰が鍛えられたからだといえる。この飛距離があれば、世界のトップとも十分に戦えるだろう。
 
 さらに、得意のアイアンショットでも切れ味が戻ってきた。17年は60・66%だったパーオン率が昨年は72・30%まで上がってきたのだ。これらの数字はシーズン2勝を挙げて賞金ランキング5位に入った18年シーズンと比べてもすべて上回っている。メジャーなどの高額賞金大会でどこまで上位に入るかにもよるが、87年の岡本綾子以来、33年ぶりの賞金女王の座も夢ではない。同時に10年の宮里藍以来、10年ぶりの世界ランキング1位を手にしている可能性も高い。さらにその先には延期された東京五輪での金メダルも待っている。

「東京五輪が中止にならなかったことはよかったですね。とりあえず、今は自宅でトレーニングを行い、できる範囲で練習をしています」という畑岡。7月から再開予定の米女子ツアーに向けて秘かに爪を研いで待つ。

取材・文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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