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ラグビー

完敗した南アフリカ戦の「想定内」と「想定外」。悲願のW杯8強に向け、主将リーチは「何をやるべきかが分かった」

吉田治良

2019.09.07

日本は自らのミスで流れを手放した印象も。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

日本は自らのミスで流れを手放した印象も。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

「キックでポゼッションを取るラグビーをテストしたかった」

 南アフリカのラッシー・エラスムスHC(ヘッドコーチ)は、試合後にその狙いを説明している。

 実際、南アフリカが奪った6つのトライのうち4つはキックが起点となっていたが、これは日本の蒸し暑い気候に合わせた、ある意味“省エネ”のラグビーでもあっただろう。

「南アフリカは攻撃することを放棄していた。キックをして、プレッシャーをかけて、我々のミスを誘っただけ。サプライズはない」

 日本代表のジェイミー・ジョセフHCはそう強がったが、まんまと術中にはまった印象は否めない。南アフリカのように身体が大きく、フィジカルの強い国を倒すため、日本が磨き上げてきたのが、ボールを激しく動かし、相手を走らせて疲弊させるラグビーだが、そうした戦略をキックの多用で巧みにかわされてしまったのだ。
 意図的にハイパントを上げて「アンストラクチャーな状態」(崩れた局面)を作り出そうと、日本もキッキングゲームに対抗するのだが、その質は南アフリカのSH(スクラムハーフ)ファフ・デクラークやSO(スタンドオフ)ハンドレ・ポラードのそれと比較して、決して高いとは言えなかった。逆に空中戦で競り負けて、あるいはキャッチングでミスを頻発して、ターンオーバーを許すシーンが目に付いた。

 SO田村優のハイパントを南アフリカのFB(フルバック)ウィリー・ルルーにキャッチされ、カウンターからWTBマカゾレ・マピンビにトライを奪われた22分の場面が象徴的だろう。

 後半に入ると、日本がようやく反撃に出る。開始10分前後には14フェイズを重ねる連続攻撃で相手をゴールライン付近に釘付けにし、4年前の劇的な逆転トライを連想させたが、結局は密集で上手くいなされ、最後の一線は越えさせてもらえない。

 すると逆に53分、またしてもハイボールの競り合いに負けると、そこから大きく左へ展開され、WTBマピンビにハットトリックとなるこの日3本目のトライを許すのだ。

 60分、相手のパスミスを突き、松島幸太朗がおよそ50メートルの独走トライで一矢を報いるも、その後、さらなる歓喜が日本にもたらされることはなかった。追い上げムードが漂い始め、攻撃的に仕掛けた矢先にハンドリングのミスが出るなど、自ら流れを手放した印象が強い。

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