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ゴルフ

コロナ禍で露見した女子ゴルフ界の「現実」。無観客での開幕戦はツアー発展の明暗を分ける試金石に

山西英希

2020.06.25

 ただし、開催にあたり全く問題がなかったわけではない。その一つが出場権を持ちながら、入国できないという理由でエントリーできない選手がいることだ。申ジエやペ・ソンウ、イ・ミニョンら韓国選手に対して不公平だという意見も少なくない。「各省庁に働きかけましたが、国が決めたことなのでどうしようもありません」と小林浩美LPGA会長は語るが、賞金ランキングには加算しないという案もある。そのことに対しては「LPGAが公認するのは、賞金を加算することが条件です。加算しないという案はありません」ときっぱり否定した。確かに、特例を認めると、その後の試合に支障をきたす可能性もある。どこかで一線を引く必要はあるだろう。

 ちなみに、すべての外国人が出場できないわけではない。同じ韓国選手でも李知姫は「3月以降、日本にずっと滞在して開幕するのを待っていた」と言う。韓国ツアーの開幕戦となった韓国女子プロ選手権の出場権を持っていたが、日本で開幕を待つ考えに「少しも迷いはなかった」と語る。また、台湾のテレサ・ルーやタイのS・ランクン、中国のセキ・ユウティンも今大会には出場する。
 
 残念ながら、現段階では今大会以降、8月第3週までに開催中止を発表していないのはNEC軽井沢72ゴルフトーナメントのみとなっている。偏見と言われるかもしれないが、女子ツアーにスポンサーが多く集まるのは、パーティを伴ったプロアマ戦を開催できることが大きい。企業にとってはこれ以上ない接待の場であり、プロアマ戦さえ成功すれば本戦は中止になってもいいぐらいの主催者が過去にいたと聞く。アース製薬のようにプロアマ戦や前夜祭を中止しても本戦を開催したい主催者が少ないのは、仕方がないのかもしれない。

 この状況を打開するには、アース・モンダミンカップで選手自身が多くの人を魅了するプレーを見せるしかない。幸いにも、今大会はインターネット中継により、4日間、全ホールのプレーが視聴可能だ。ピンチをチャンスに変えることができるかどうか。女子プロにとっては今大会がツアー発展の明暗を分ける試金石となるのではないか。

取材・文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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