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マラソン・駅伝

相次ぐ日本新に沸いた陸上長距離界。黄金期をもたらしたのは厚底だけではなく…

生島淳

2020.08.07

 2018年10月には大迫傑(ナイキ)が2時間5分50秒のタイムをマークして新たな日本記録を作ると、この時期から2時間10分を切る「サブテン」がスタンダードになってきた。

 2018年12月の福岡国際マラソンでは服部勇馬(トヨタ自動車)が2時間7分27秒の好タイムで日本人としては久々の優勝を遂げた。

 そして2019年には、代表決定レースであるMGCレースに向けて条件をクリアする選手が続出、最終的には34名の選手が出場権を獲得した(出場は31名)。

 圧巻だったのは2020年の東京マラソンで、大迫傑が自身の持つ日本記録を更新する2時間5分29秒をマークしてオリンピック代表権を獲得し、サブテンを達成した選手も19人を数えた。しかも2時間6分台が2人、2時間7分台も7人。数年前なら、日本人トップは確実だったタイムである。

 これほどの変化が劇的に起きたのは、シューズの改良もさることながら、選手のメンタリティが変化したことが大きかったと思う。

「アイツが出すなら、俺だって」

 と思うのが戦う選手や指導者のマインドである。

 目標設定が高くなれば、自然と練習の質、量も向上していく。限界点を上へ、上へと押し上げていけば、レースにも自信を持って臨める。
 
 また、実業団の選手は記録によってボーナスが支給される場合もあり、そうした「成果主義」が後押しした面もありそうだ。

 陸上に限らず、競泳などのタイムを争う競技では、一気に記録が上昇するタイミングというものがある。ギア、あるいはテクニックなどの広い意味での技術革新も大きな要素ではあるのだが、選手たちの「競争心」、「ライバル意識」がレベルを向上させる要因だと私は思う。その意味でいま、日本の陸上界は黄金期に突入しつつあるといえる。

 それを促したのは、東京オリンピックの存在である。

 1年延期されたことで、さらに記録が向上する可能性もある。

 いまはただ、新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に収束し、無事にオリンピックが行われることを祈るのみである。

文●生島淳

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