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ゴルフ

当人にしか理解できない”全英覇者”のプレッシャー。米ツアーを終えた渋野日向子に求められるものとは?

山西英希

2020.10.12

 そのような考えもあってか、今回、渋野は「メジャーチャンピオンという言葉を捨ててもいいと思った」と語った。「今の自分の技術でメジャーチャンピオンというのもすごい恥ずかしい」というのだ。確かに結果だけ見ればそう考えても仕方がないかもしれない、しかし、だからといって、メジャーチャンピオンの看板を捨てるというのは間違いだろう。

 過去、どれだけ多くの選手がそのタイトルを目指し、それこそ血のにじむような努力をしてきたことだろうか。それでも手が届かなかった選手は星の数ほどいる。そういった選手に対して、逆に失礼なのではないか。渋野のメジャータイトルは決して与えられたものではない。自らつかんだものであり、メジャーチャンピオンであることは、誇りにするべきだと思う。
 
 たとえ結果が出なくたって気にする必要はない。海外ツアーにたった6試合出場しただけで、いろいろ吸収できたことも事実だし、あとはそれをどう生かすかだけだ。

 かつてのイアン・ベーカーフィンチのように、全英オープンのタイトルを獲得したがために、そのプレッシャーに押しつぶされてスランプに陥り、ツアーから撤退せざるを得なかった例もある。どこへ行ってもメジャーチャンピオンらしいゴルフを求められる辛さは当人でなければ理解できないかもしれない。それでも渋野にはメジャーチャンピオンとして胸を張っていてほしい。ベストを尽くして戦った人間に恥ずべきところなんて一切ないはずだ。

文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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