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ゴルフ

受難の2020年シーズンで渋野日向子が気付いた「今の自分」に足りないモノ。中途半端な自信が吹き飛んだ後に残ったのは…

山西英希

2020.12.29

 言い方は悪いが、19年の実績は渋野に中途半端な自信を与えたのかもしれない。その自信が木っ端微塵に吹き飛ばされたことで、ゼロから自分のゴルフを構築しようと考えざるを得なかった。そこから這い上がるには並大抵ではない努力と精神力が必要とされるが、渋野は国内ツアーに復帰後、4試合目でトップ5に入り、5試合目の『JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ』では3位タイに入った。さらに、自身にとって今年の最終戦となった『全米女子オープン』では優勝争いを演じて見せる。3日目、最終日にスコアを伸ばせなかったのは残念だが、今年のゴルフを考えれば4位は大健闘といえる。この活躍も海外ツアー6試合で足りない部分を知り、それを自分の中で解決してきてからだろう。

 できれば優勝してほしかったが、その反面、勝たなくてよかったという気持ちもある。なぜなら、予選2日間で7アンダーをマークしたゴルフに対して「自分でもなんでこんなにパットが入るんだろう、ショットが乗るんだろうという感じでした」と語っていたように、渋野自身が疑問に思っていたからだ。勝ちに不思議な勝ちありとはいうものの、やはり理由が分からない勝利ではその後が続かないと思う。自信が確信に変わったときに初めて本当の強さを得られるのではないか。
 
 決勝の36ホールで渋野は精一杯のゴルフを演じていた。その中でプレッシャーがかかったときのショットの難しさをあらためて知ったという。おそらく口には出していないが、もっと多くのことを学んでいたはずだ。そのことを近い将来、必ずやメジャーの舞台で証明してくれると思うし、それが20年に渋野が得たモノの答えでもある。

文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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