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フィギュア

全日本で紀平梨花が示した“ロシア勢と渡り合える可能性”。4回転サルコーを支えたフィジカル、メンタルの進化

矢内由美子

2020.12.31

 そして、もう一つのインパクトは、数字に出ないところで見せたアスリート色だ。SPのステップシークエンスでの片手側転は、スピード感やスムーズな動き、ほぼ180度の伸びやかな開脚姿勢が新鮮な驚きをもたらした。採点には直結しないが、ロシア勢とは異なるタイプの表現力と言える。

 全日本選手権と同時期に開催されていたロシア選手権のフリーでは、シェルバコワがルッツ、フリップの2種類の4回転を決めたのをはじめ、2位のワリエワ(トーループ単独とコンビネーション)、3位のトルソワ(ルッツ単独とコンビネーション)と、上位選手が軒並み4回転ジャンプを複数跳んだ。新型コロナウイルス感染で欠場したコストルナヤらも控えている。

 そういった世界の情勢の中で、今回、紀平がトリプルアクセルに加えて4回転サルコーという武器を手に入れたことは、ロシア勢と渡り合える可能性を示したということにつながる。
 
 全日本を終えて紀平はこう言った。

「(ロシア選手権の)演技は見ていないが点数と順位は拝見した。私も目標にしている(フリー)160点台やもっと点の高い選手がいて刺激になった。自分も完成度の高い演技をして、世界選手権でロシア選手と戦えるレベルに持っていきたい」

 意気込みを語るとき、紀平の目は文字通りキラキラと輝いていた。必ず何かを起こしてくれるという期待を膨らませる輝きだった。

文●矢内由美子

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