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「やります、あと半年で」世界との差を縮めるために、女子ホッケー永井友理が取り組むチームの進化

内田暁

2021.01.23

世界との戦いを経験した永井だからこそ至った変化の必要性。その先には日本のホッケー界を牽引していくチームになるという目的がある。(C)Getty Images

世界との戦いを経験した永井だからこそ至った変化の必要性。その先には日本のホッケー界を牽引していくチームになるという目的がある。(C)Getty Images

 では永井の言う、それまでの「勝つだけの戦術」と、この先にある「日本ホッケー界を牽引していくチーム」とは、それぞれどのようなものか?
 
 ソニーの主将にして、日本代表のエースが説明する。

「今までのソニーは、ディフェンスからロングボールでフォワードにつないで攻めるパターンが多かったんです。中盤を省略し、あとはプレスで相手のボールを奪ってショートカウンターというのがコンスタントな形でした」

 この形なら、確かにリスクは最小限に抑えられる。ただロングボールを多様する攻撃は、運や「相手のミス待ち」が否めないことを、永井は世界で痛感してきた。

「正直、日本国内のレベルだとディフェンダーのレシーブミスも起きるので、こちらのチャンスも生まれる。でも世界相手だと、そのミスは少ないし、攻撃パターンも少ないので分析されて簡単に抑えられてしまう。このままのホッケーだと、世界では絶対に通用しないなと思いました」

 それら世界との差を痛感した上で、彼女が今チームで体現しようとしているのは、中盤を活用し、化学反応的に攻撃バリエーションを増やすホッケーだ。
 
「今やろうとしているのは、簡単に言うと2列目を活用するホッケー。3列目(ディフェンスライン)から2列目に当てて真ん中から相手を崩したり、2列目どうしでボールをつないでからフォワードに渡したり。中盤をより使いながら攻撃を厚くしていくのが、一番大きく変わったところです」。

 そのように、目指す地点は見えていた。実際に練習を始めた時には、中盤の選手たちが今まで以上に意欲的にプレーしている手応えも感じられた。

 ただ、コロナ禍に見舞われた状況下で絶対的に不足していたのが、試合形式でのテストである。いかに美しくデザインされたプログラムでも、対戦相手という不確定なファクターが加わった時、予期せぬエラーが生じる。それらを潰すにはテストを繰り返すしかないが、そのための練習試合等を組むことが、今年はままならなかった。
 

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