<ほしいものは自信、手応え>
――筋トレもハードだと思いますが、肉体的な変化は感じますか?
「まだバスケの筋肉で漕いでいると指摘されます。まずは自転車の筋肉で使えるようにならないとダメですね」
――使う筋肉は違いますか?
「全然違います。筋肉痛になる場所も違います。だから最初はとてもきつかったです。しばらく動けないくらい、身体もびっくりしていました」
――バスケットをやってきたことが生かされている場面はありますか?
「バスケをしている時も、上手い人のプレーを見て、あそこが皆と違うな、と考えていました。競輪でも、速い人と遅い人をじっくり比較してみると、見えてくることがあります。そういう見る力は養われてきたのかなと」
――昔から分析するタイプだった?
「これほど見ることを意識したのは、養成所に来てからですね。自分が走るのではなくて、レーサーをいかに走らすか、なので、どうパワーを伝えて、どうスピードに変えていくのか、学ばないといけないと感じています。どこか感覚的、本能的にプレーをしていたバスケとは違うところですかね」
――たとえば部活の後輩に競輪の魅力を伝えるとしら、どう言いますか?
「自分は自転車に乗って走った時に気持ちが昂りました。だから、一度乗ってみて、としか言えないかな。ふだん乗っているママチャリと全然違うし、風切って走るのも楽しいよって。感覚的なものなので、言葉じゃなかなか伝わらないと思うんですよね」
――いまの自分に足りないものは?
「自信ですかね。まだ自分の可能性を信じられません。これまで水泳でも、空手でも練習したらすぐに伸びるイメージがあって、スポーツに関してはあまり挫折を感じることはありませんでした。バスケでも選抜に選ばれたりして周りにチヤホヤされましたけど、いまの自分はタイムも遅いし、すっかり落ちこぼれです。まずは自分が自信を持てるだけの力をつけたい。そうすれば、上だけを目指して、もっと強くなれると思うんです」
――競輪選手としてどのような未来を描いていますか?
「やっぱりお金を稼ぎたいです。プロなので。自分は社会に出たことないのでわからないですけど、頑張っても、その分のお金を稼げる世の中ではないことは何となく感じています。父は自営業で母は公務員をしていますが、仕事ぶりを見ていても、その苦労がわかります。たまに愚痴も聞こえてきますし(笑)。そんな中にあって競輪選手は自分の実力で勝負できる仕事ですよね。そこに大きな魅力を感じています」
――その分、厳しい世界ですが、やっていく覚悟はできましたか?
「はい。ただ、いまの自分には、ガールズのトップになりたいです、とは言えないです。目標は高ければ高いほどいいとはわかっているんですけどね」
◇ ◇ ◇
「30歳くらいまで結婚して家族を持ちたいと思っているので、その前にできるだけ貯金をしておきたいです!」
話を聞いた印象は、ノリがよくて、少しクールな、いまどきの19歳の女性そのものだった。身体も精神も未完成だが、彼女はいま、養成所でたくさんの刺激を受けて日々成長を続けている。
《競輪選手候補生募集中!》
123回生(男子)/124回生(女子)
応募の締切は8月20日まで
「Webオンライン入所説明会」
8月4日(水)19:00~
参加お申込みは こちら から
(申込締切8月3日まで)
《日本競輪選手養成所》
電話:0558-79-0111(学務課)
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