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フィギュア

羽生結弦が今季ついに、前人未到“4回転半ジャンプ”の成功なるか!? 残り「8分の1」回転の壁をどう越えてくるのか

辛仁夏

2021.09.26

 それでも、熱を入れて続けてきた4A練習で少しずつ手応えを掴みつつあるようだ。5か月前の国別後に行なわれたエキシビションの公式練習で国内初となる人前での4A練習の挑戦は、並々ならぬ思い入れの発露か。12度挑むも6度転倒するなどで、結局成功はしなかった。その跳び方を見ると、明らかに得意の3Aとは違っていた。無駄な力を使わずに軽々と跳ぶ3Aと比べ、4Aは力を振り絞るように深く踏み込んでから跳び上がるジャンプだった。この時点でも「練習でもまだ一度も成功がない」と言っていたが、羽生のモチベーションは揺らがず、「4Aがそろった、完成された演技を目指して頑張っていきたい」と抱負を語っている。

 そして迎えた五輪シーズンがついに幕を開けた7月。シーズンイン最初の演技だったDOIでのエキシビションナンバー『マスカレイド』での3Aの跳び方がこれまでのジャンプが「柔」としたら、それとは少し違って力強さの「剛」が入っていたようだった。初日の公演後に会見に応じた羽生はこんなことを話していた。
 
「このアイスショーに焦点を絞って練習しなくてはいけなかったので、そこまで4Aの練習はできていません。ただ、アクセルの基礎の練習を一から自分が作り直して、4回転半に向けて作り直す作業をしっかりできたので、(DOIが終わってから)本格的に練習をしていきたいなと思っています」

 これまでの高難度ジャンプ習得の過程を見ても、史上初めて4回転ループを成功させた羽生が、超大技の4Aを試合で成功することをファンのみならず、スケート関係者も期待している。「8分の1」の回転不足から着氷までどの程度に迫ってきたのか。高さとパワー、回転軸、そして回転スピードの4拍子をどう合わせて完成形に持っていけるか。完璧な習得まであとわずかな地点まで来ていることは間違いないだろう。

文●辛仁夏 YINHA SYNN
1990年代に新聞記者となり、2000年代からフリーランス記者として取材活動を始め、現在に至る。フィギュアスケート、テニス、体操などのオリンピック種目からニュースポーツまで幅広く取材する。

【PHOTO】日本のアイス・プリンス!羽生結弦のシニアデビューから現在をプレイバック!
 

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