この件については、元F１ドライバーで現在はコメンテーターのカルン・チャンドックが、自身のSNSで「よりフェアなチャンピオン決定方法」のひとつとして、「ラティフィがクラッシュした時点で赤旗を出してレースを中断させ、全車がフレッシュなタイヤを履いて残り４周で改めてレースを行なうこと」を挙げている。確かに、一度レースを止めて仕切り直すことで、今回のような不均衡が生まれることはなかっただろうし、SNSでは多くのファンも赤旗中断を主張していた。

　これに対してF１公式サイトは、レースを中断しなかった理由として、フェルスタッペンの大クラッシュによる赤旗中断の後、残り２周でリスタートしたアゼルバイジャンGPを引き合いに出し、「バクーではデブリの量から、撤去作業に時間がかかり、SCラン中にこれを終えることは不可能という判断で赤旗中断の判断がすぐに下せたが、今回は作業の時間が定かではなく、レース再開の可能性があった」と説明し、「最低限」の選択肢としてSC導入になったという。
  　もうひとつレースコントロールが採ることができた手段のひとつとして、レース時の車間を維持することができる（つまりフェルスタッペンがハミルトンの真後ろにつけることは不可能）「ヴァーチャルセーフティーカー（VSC）」もあったが、こちらは「車をクレーンで撤去する必要があり、小さな火災も起きていたため、VSCでは十分ではないと判断された」との却下理由が綴られている。

　また『Sky Sports』によれば、ラティフィがクラッシュしたターン14での事故については赤旗を出さないという決定を、スタート前にレースコントロールが下していたとのことであり、最も多くの人々を納得させたかもしれない手段は、最初から選択肢から外されていたということだ。

構成●THE DIGEST編集部

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