不調の要因のもう一つは、主にディフェンスだ。世界選手権で初優勝を果たし、世界ランキング1位に上り詰めた2018年後半からツアーで年間11大会優勝を飾り、2019年の桃田は相手の決め球をことごとく返す鉄壁の守備力を誇っていた。連戦の疲労がかさんで負けるときもあったが、ストレート負けはほとんどなかった。しかし、今年の前半は相手のスマッシュに追いつけず、ノータッチで決められてしまうが目立った。
「すべての動作で体をうまく使えてないという感覚があり、特にシャトルに対する動き方のロスが多いと感じていました。(スマッシュの)1球に対する動きの遅さ、反応の悪さがすごく気になって、シャトルとの距離感も合っていないんじゃないかなという気持ちもありました」
ただし、この問題については、今夏から指導を受けるようになった新しいトレーナーとの話し合いや練習で、既に改善傾向にあるという。
「自分でもスマッシュを決められる回数が増えたというのを感じていましたが、そこに対する体の動かし方は、少しずつ良くなってきてるんじゃないかなと思っています」
実際、今回の世界選手権で敗れた試合でも、春先の大会と比べると強打を拾えるようになってきているという印象はあった。現在の桃田は、不調の原因を洗い出しながら一つひとつ地道に克服している最中だと言える。
今回の世界選手権で男子シングルスを制した世界ランキング1位のビクトル・アクセルセン(デンマーク)が、苦しむ桃田の現状について質問された時があった。桃田と同じ1994年生まれのアクセルセンは、「みんな彼をリスペクトするべきだ」と切り出し、「あの事故(2020年1月のマレーシアでの交通事故)は彼にとってとても大きな影響を及ぼしたんだ」とジュニア時代からの好敵手の心情を慮った。心技体のバランスを整え続けることの難しさを熟知しているアクセルセンの言葉には重みがある。
今、桃田は胸の中にこのような意志を携えて日々を過ごしている。
「大事なのは自分が勝ちたいときにしっかり勝ちきれる力だと思う。ランキングや一回一回の結果で一喜一憂しないのも、今の僕には大事なこと。相手のことよりも自分のプレーに集中して、力をつけていきたい」
長く険しい道のりだという覚悟が桃田にはある。今週は世界選手権の上位メンバーがほぼ揃う「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン2022」が開催される。大阪での試合で、完全復活への階段をまた一段上がるつもりだ。
取材・文●矢内由美子
「すべての動作で体をうまく使えてないという感覚があり、特にシャトルに対する動き方のロスが多いと感じていました。(スマッシュの)1球に対する動きの遅さ、反応の悪さがすごく気になって、シャトルとの距離感も合っていないんじゃないかなという気持ちもありました」
ただし、この問題については、今夏から指導を受けるようになった新しいトレーナーとの話し合いや練習で、既に改善傾向にあるという。
「自分でもスマッシュを決められる回数が増えたというのを感じていましたが、そこに対する体の動かし方は、少しずつ良くなってきてるんじゃないかなと思っています」
実際、今回の世界選手権で敗れた試合でも、春先の大会と比べると強打を拾えるようになってきているという印象はあった。現在の桃田は、不調の原因を洗い出しながら一つひとつ地道に克服している最中だと言える。
今回の世界選手権で男子シングルスを制した世界ランキング1位のビクトル・アクセルセン(デンマーク)が、苦しむ桃田の現状について質問された時があった。桃田と同じ1994年生まれのアクセルセンは、「みんな彼をリスペクトするべきだ」と切り出し、「あの事故(2020年1月のマレーシアでの交通事故)は彼にとってとても大きな影響を及ぼしたんだ」とジュニア時代からの好敵手の心情を慮った。心技体のバランスを整え続けることの難しさを熟知しているアクセルセンの言葉には重みがある。
今、桃田は胸の中にこのような意志を携えて日々を過ごしている。
「大事なのは自分が勝ちたいときにしっかり勝ちきれる力だと思う。ランキングや一回一回の結果で一喜一憂しないのも、今の僕には大事なこと。相手のことよりも自分のプレーに集中して、力をつけていきたい」
長く険しい道のりだという覚悟が桃田にはある。今週は世界選手権の上位メンバーがほぼ揃う「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン2022」が開催される。大阪での試合で、完全復活への階段をまた一段上がるつもりだ。
取材・文●矢内由美子