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モータースポーツ

開幕前の低評価を見事に覆した角田裕毅がモナコGPで節目の50戦目へ。予想以上の活躍の背景に“心技体”の充実

甘利隆

2023.05.26

マイアミGPではキャリアベストとも言える走りを見せた。今週末のモナコGPに期待が懸かる。(C) Getty Images

マイアミGPではキャリアベストとも言える走りを見せた。今週末のモナコGPに期待が懸かる。(C) Getty Images

 残る“技”に関して今年大きな進歩が見られたのは、レースの組み立て、いわゆるレースクラフトだ。

 角田といえばオーバーテイクショーのイメージがあるが、F1での過去2年のスタート位置と決勝順位の差を見ると、2021年はいずれも雨に見舞われたエミリア・ロマーニャGPで20番手から12位、ハンガリーGPで16番手から6位と大きく順位を上げたレースがあったものの、逆に大きく落としたレースもいくつか見られ、完走18レース中、順位を上げられたのは9レース。
 
 2年目の2022年も16番手から8位入賞したバーレーンGP、19番手から10位入賞したアメリカGPがあるものの、11番手から6つ順位を落としたモナコGPなどもあり、完走16レース中、順位を上げられたのは7レース。

 上がった順位と下がった順位の差を完走レース数で割った平均値は、2021年が0.83、2022年が1.31とそれほど順位を上げられていなかった。

 しかし、今シーズンは現在のところ全レースで完走し、5レース中4レースで順位を上げるなど、決勝での強さが大きく増し、順位差の平均値も2.80と1レースあたり約3つ順位をアップさせている計算になる。

 また、ポイント獲得には至らなかったが、17番手から11位完走を果たしたマイアミGPではキャリアベストともいえる走りを見せ、平均ラップスピードはレッドブル、アストンマーティン、メルセデス、フェラーリ、アルピーヌの各2台、計10台に次ぐ11番目の速さを記録した。

 角田が駆るAT04は競争力に劣るため、守りの展開が多いが、そういった局面での戦い方は、チャンピオンから盗んでいる。

「フェルナンド・アロンソから学ぶことが多いですね。2021年のハンガリーGPで、ルイス(・ハミルトン)が僕をオーバーテイクしようとした時、できる限り防御しましたが、4周後に抜かれました。その後、フェルナンドはルイスをディフェンスしていましたが、それを見てクルマの位置関係やライン取りなど、多くを学びました」

 イタリア北部を襲った豪雨の影響でチームの地元でのエミリア・ロマーニャGPは中止となり、今週のモナコGPがF1での自身50戦目。

“心技体”が整い、周囲を驚かせてきた今季の角田なら、この週末も被災したスタッフもいるチームを鼓舞する走りを見せてくれるに違いない。

文●甘利隆
著者プロフィール/東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter:ama_super
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