過酷な環境で優れたドライビングの能力を発揮し続けるには、完璧なコンディションとフィットネスの充実は不可欠な要素であり、その意味でドライバーの命運を握る存在でもあるイタリアーノ・コーチは、アメリカの大手スポーツ誌『Sports Illustrated』のインタビューの中で、新たなクライアントである角田についても言及。まず、コーチ就任の経緯を以下のように明かしている。

【ハイライト動画】カナダGPでフェルスタッペンが通算100勝目！ 「ダニエルが、幼い子どもがいることであまり家を空けたくないという意向（休養）を示した時、私はそれを理解した。そして、私が角田のコーチの話を持ちかけられた時、彼は『ユウキの性格を考えると、君に非常に適していると思う』とアドバイスしてくれた。私は少し考え、チームのユウキへの期待度を理解するため、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表やヘルムート・マルコ顧問と面会し、彼らからもコーチ就任を望まれた。そして最後に、ユウキと直接話し、彼自身の意思を確認した」

「昨季最終戦のアブダビGPの後、我々は１時間ほどコーヒーを飲みながら、トレーニングとは何の関係もない雑談を交わした。私が彼に合っているかどうかを確認したかったからだが、その後、彼は快適だったと言ってくれた。それで、我々は今年１月にドバイでトレーニングを行なったが、非常に楽しかったし、良い時間を過ごせた」

「リカルドと出会うまでは『レースファンではなかった』というコーチは、日本人ドライバーの人間性について、『ユウキは自身の考えを率直に話すが、それは彼の非常にポジティブな特徴だと思う。常に正直であり、操り人形にはならない。その点で、彼を尊敬している。彼はこの競技で本当に上手くなりたいと考え、向上のために自分の心身のケアが必要であることも理解していた。正直言って、彼は信じられないほど素晴らしい人間だ』と評した。

　さらに、「彼は真剣にトレーニングに取り組んでいる。モチベーションが高く、より成長したいと熱望する選手のコーチを務めるのは、本当に素晴らしいことだ」と称賛し後、角田のフィジカルにも触れ、「これまではレース中に肩の痛みや首の疲労などによってかなりの疲労を感じていたが、今ではどちらもなくなっている。これまでのトレーニングが不快感や痛み、そして疲労を打ち消し、彼のドライビング能力を助け、身体のコンディションを整えている。それは、良いレースを維持できるレベルにまで達している」と語っている。