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ゴルフ

「自信を持ってプレーできませんでした」――挫折も味わった山下美夢有はなぜ2年連続“年間女王”に輝いたのか?【女子ゴルフ】

THE DIGEST編集部

2023.12.01

小柄ながら飛距離の出る山下。(C) Getty Images

小柄ながら飛距離の出る山下。(C) Getty Images

 一方、山下とは対照的に、メルセデスランキング1位を争っていた申ジエが『全米女子オープン』で2位タイ、『AIG女子オープン』で単独3位となり、一気に780ポイントを獲得。ついに山下を抜き去っていた。技術的にもメンタル的にも窮地に追い込まれた山下だが、そのピンチを脱出するために特別なことはしなかった。原点に戻ることを第一に考えたからだ。

「10月半ばぐらいに、もう一度自分のスイングをしっかり確認しました」。無理に持ち球を変えようとせず、自分本来のスイングを見直しに入った。その際、あえてボールを打ち込むことはせず、アドレスした際に自分がどこを向いているのか、目標に対してしっかりとスクエアに構えているかどうかをチェック。その上でスイングリズムが速くなり過ぎていないかどうかも確認した。また、昨年年間女王を獲得したときのパターに戻したのもこの時期だった。

 そこから徐々に調子を上げていき、『樋口久子 三菱電機レディス』終了後に再び、ジエを抜いてメルセデスランキング1位に躍り出た。以降、最終戦まで誰にも譲ることなく1位の座を守り切った山下だが、それを支えたのは、コーチでもある父親の勝臣氏であり、家族だった。

「家族の支えもあり、気持ちを切り替えることができました。最終戦の4試合ぐらい前からショットも安定してきて、スイングリズムも良くなったので、自信を持ってプレーできるようになりました」と、最終戦の優勝会見で笑顔を見せて語った山下。

 パットの不調ですぐに上位には食い込めなかったが、ショットの調子は間違いなく上がっていた。それがようやく最終戦でかみ合い、今季のツアー5勝目、年間女王のタイトルにつながったわけだ。仮に、原点に戻らなければ、年間女王のタイトルを獲得できなかったかもしれない。
 
 プロに転向してからの4年間、身長150センチという小柄な体をカバーするために徹底的に下半身を鍛え、ショットの安定力を高めると同時に、ショートゲームを磨き、たとえグリーンを外してもパーセーブできる確率を上げてきた。その努力を間近に見てきた家族にしてみれば、多少不調になったぐらいで山下のゴルフが揺らぐことがないと信じていた。その思いが本人に通じたからこそ、原点に戻る気になったのだろう。

 最後まで年間女王を争ったジエは、山下について次のように語っていた。「スタッツを見ると、山下さんはほとんどの部門で1位。それだけ総合力が高いということです」。確かに、主要22部門中11部門で1位となっている。ゴルフ自体に隙のないところが強さの要因だけに、もうしばらくは山下時代が続きそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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