専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
格闘技・プロレス

80年代のプロレス界最大のミステリー、“呪われた”フォン・エリック一家。長年謎だった事柄がいくつか判明する…

THE DIGEST編集部

2024.03.26

 しかしケリーはその後、NWA世界王者として来日するも横須賀で行なわれたタイトル戦でフレアーに敗れ、王座から陥落してしまう。わずか18日間の天下だったが、その後も日本では『世界のプロレス』でWCCWの試合が日本語実況付きで放送された。今作では同団体に参戦していたブルーザー・ブロディやファビラス・フリーバーズなどレスラーたちはもちろん、聖地スポルタテリアムも完全再現。TVショーの雰囲気も再現度が高い。

 一家と関係性が深かったブロディが全日本から新日本プロレスに移籍したこともあり、ケビン、ケリー、マイクの3人は新日本にも参戦している。しかし、1986年にケリーがバイクで事故を起こして右足を切断し、1987年には怪我に悩んでいたマイクが服薬自殺。義足をつけて復帰したケリーはWWF(現WWE)に移籍してインターコンチネンタル王者になるなど活躍するも、コカインで起訴されると1993年に拳銃で自殺した。劇中では描かれていないが、1991年には身体が小柄だった六男のクリスも拳銃で自ら命を絶っており、“呪われた”フォン・エリック一家で現在も存命なのはケビンだけとなった。
 
 映画の構成上、若干時系列に差異はあるものの、今作ではプロレスファンにとって長年謎だった事柄がいくつか判明する。またNWA世界ヘビー級王座がどれだけ権威があったのかもわかるはずだ。ケビンとデビッド以外の兄弟は、実はレスラー志望ではなかったというのも注目すべきポイントで、人間ドラマとしてもしっかりと作られており、プロレスへのリスペクトを感じる作品となっている。

 現在のプロレスファンにも響くものがあるだけに、ぜひ劇場で1980年代のアメリカンプロレスの物語を観てもらいたいと思う。エンドロールの最後の最後に出て来るクレジットまで要チェックだ。

取材・文⚫︎どら増田
写真●©︎2023 House Claw Rights LLC; Claw Film LLC; British Broadcasting Corporation. All Rights Reserved.

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号