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バレーボール

「ダメだと思ったよ」――高橋藍の猛攻に敵会長も思わず冷や汗。最多タイの18得点も、チームは初戦を落とす【現地取材】

佳子S.バディアーリ

2024.04.20

頂上決戦の初戦、会場には約4800人の観客が集まり、試合の行方を見守った。(C) Lega Pallavolo Serie A

頂上決戦の初戦、会場には約4800人の観客が集まり、試合の行方を見守った。(C) Lega Pallavolo Serie A

 ペルージャの本拠地『パラ・バルトン』には、雨が降る平日の夜にもかかわらず、およそ4,800人の観客が詰めかけほぼ満員。イタリア国家が流れると大合唱が起こり、決勝の幕開けを盛り上げた。

 第1セット、高橋のブロックで試合をスタートさせたモンツァが、続くガラッシのエース1本を含むサーブでいきなり3連続ブレーク。前半にバックアタック2発を炸裂させた高橋が、悪球を果敢に叩いてリードを6点へ広げる。そのまま、これまでの快進撃を象徴する試合運びで順調に終盤を迎え21-15。セット先取へ限りなく近づくが、そこからペルージャに猛反撃を許してしまう。セメニュクのサーブで3連続ブレークに見舞われてタイムアウト。その後、さらにエースとブロックを決められて1点に詰め寄られる。それでも踏ん張り24-21でセットポイントを握るが、3度のチャンスを逃して逆転で試合を先行された。

 これを引きずったか、第2セットでは序盤から引き離されて2セットダウンの窮地へ。3セット目は、3点のビハインドを中盤の入りに挽回し、高橋がアタックとエースで5度にわたり僅差のリードを死守する。突入した終盤の混戦を耐え抜き、ガラッシの連続ブロックでセットを奪い返した。

 迎えた第4セットでも高橋の奮闘が光る。2点を追う展開の序盤、コート中央からノールックでレフト方向へバックアタックと直後のレフト攻撃で同点に追いつく。モンツァは、中盤に被ブロック3本を浴びるなどして再び劣勢を強いられるが、ベンチに下がっていたマーがコートへ戻るとサーブで相手のアタックミスを誘発し、4連続ブレーク。一気に流れを引き寄せてリードを1点とする。すると、勝負を決めたいペルージャが、膝の故障で主力を離れるポーランド代表OHウィルフレド・レオンを投入。すぐさま強烈なアタックとエースを打ち込まれて劣勢へ押し戻されてしまう。高橋はラリー中の好守やアタックでチームの背中を押し続けるが、期待がかかったサーブはネットを越えず相手のマッチポイント。それを1度は阻止したモンツァだったが、粘り及ばずに黒星発進となった。
 
 高橋は、ペルージャのOHプロツニスキーと並び試合最多タイの18得点(アタック16、エース1、ブロック1)を記録。アタック決定率で、1セット目(80%)から試合終了(70%)まで高い数字をキープするなど、次戦へつながる好パフォーマンスを見せた。

 印象的だったのは、高橋の攻撃が決まる度にエンド席の机をこぶしで何度も叩いて悔しがっていたペルージャのジーノ・シルチ会長の姿。本拠地を訪れたサポーターたちは、6点差の劣勢で終盤を迎えた第1セットを、「ダメだと思ったよ」「あの逆転はミラクル」と振り返りながら額の汗を拭うジェスチャーを見せ、先勝に安堵した様子だった。

 中2日で迎える第2戦は、日本時間4月21日22時15分開始。厳しい日程の中、モンツァはホームで勝利奪取へ挑む。

取材・文●佳子S.バディアーリ

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