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3連単91万超の大波乱を演出したテンハッピーローズ。陣営の忍耐・努力の積み重ねにあっぱれ! 一方、“現4歳世代”の脆弱さが浮き彫りに…【ヴィクトリアマイル】

三好達彦

2024.05.13

 筆者は今回のテンハッピーローズの勝利を見て思い出した言葉がある。それは、JRA通算2943勝を誇る名手・岡部幸雄氏が口にした「馬は順調にいっていれば、いつかチャンスは巡ってくる」というものだ。6歳の春までの長い年月を我慢に我慢を重ねて、本馬を育ててきたスタッフの努力の積み重ね、忍耐に拍手を送りたい。

 1000mの通過ラップが56秒8という超ハイペースを3番手で追走しながら2着に粘り込んだフィアスプライドの頑張りは流石と言える。牡牝混合の重賞で揉まれてきた地力が、GⅠの舞台で活きた印象だ。

 1番人気を裏切ったマスクトディーヴァは、道中で馬体をぶつけられたり、進路をカットされたりと、スムーズさに欠けたのは不運だった。能力の高さは揺るがないが、残念ながらそうした不利を跳ね返すほどのポテンシャルはなかったという評価を下さざるを得ないのは仕方のないところだろう。
 
 さて、大きな注目を集めたナミュールだが、今回手綱を取った武豊騎手は「初めて乗ったので比較はできませんが、最後に追い出しても切れる脚を使えず、最後までジリジリという感じでした。この馬本来の決め手が出ませんでした。残念です」とコメント。直線へ向いた時点では13番手で、伸びてはいるものの8着まで差を詰めるのがやっと。後方から豪快にごぼう抜きした昨秋のマイルチャンピオンシップ(GⅠ)のような切れ味は鳴りを潜めた。

 同馬は3月末のドバイ遠征から帰国し、着地検疫を済ませてトレセンへ帰厩したのがレースの10日前という慌ただしいスケジュールで臨んだわけだが、調教で普段と変わらない動きを見せてはいたが、中身が伴っていなかったのかもしれない。

 プレビュー記事で推したハーパー(牝4歳/栗東・友道康夫厩舎)は直線に入ったところで反応がなかったため、最後は流して入線。最下位(15着)に甘んじた。詳細は分かりかねるが、気持ちが切れた印象で、メンタルの弱点を露呈したように感じた。

 結果的にマスクトディーヴァが3着に入ったものの、4歳馬は押し並べて凡走。上位2頭が6歳馬だったように、ベテランの優勢に終わった今回を見ても、「現4歳世代は弱い」という見方は牝馬戦線に及んでいくかもしれない。

取材・文●三好達彦

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