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格闘技・プロレス

「カッコ悪いけど悔しくてたまらなかった」強烈に意識し合う青野未来と桜井麻衣。マリーゴールドの歴史を紡ぐライバル関係から目が離せない

橋本宗洋

2025.01.15

青野からベルトを奪取した桜井。ふたりの強烈なライバル心がぶつかり合った。写真:橋本宗洋

青野からベルトを奪取した桜井。ふたりの強烈なライバル心がぶつかり合った。写真:橋本宗洋

 悔しさと、その裏にあるプライドをかけたタイトルマッチ。目立ったのは青野の重厚な攻撃だった。蹴りを軸にパワフルな技をたたみかける。必殺技スタイルズ・クラッシュは雪崩式でも決めた。
 
 そして青野の攻めが厳しければ厳しいほど、桜井の“受け”も際立つ。粘りに粘る挑戦者に桜井コールが何度も起きた。それが「何よりも悔しかった」と青野は言う。

 ただこれは、単純に試合内容で桜井が支持されたということでもないだろう。桜井が耐える姿に、観客は声援を送った。見方を変えればチャンピオンが強かったということ。存分に実力を見せつけて、その上で青野は敗れた。フィニッシュは桜井がマリーゴールド入団後に蝶野正洋から直接指導されたSTFだ。

 桜井はマリーゴールド旗揚げ戦で納得のいく試合ができず、常に悩み続けてきた。いつの間にか後輩が増え、教えたり引っ張ったりすることへの戸惑いがあったし、青野の活躍に悔しさも味わった。しかしそれが飛躍の原動力にもなっている。

 MIRAIとタッグ王座を獲得、WWEと契約しアメリカに渡るジュリアの壮行試合では激しい試合ぶりで観客を驚かせた。シングルリーグ戦では決勝進出。団体の看板タイトルの一つを手にしても、もはや違和感を抱く者はいない。

 桜井と青野は立場を入れ替えて、またストーリーが展開することになる。青野曰く「どん底」。ならば這い上がる姿を見せるだけだ。

 アクトレスガールズでの青野は、先輩たちが一気に退団した中で力をつけた。何度も苦しみ、泣いて新体制のエースになったのだ。その苦闘の歴史があって、青野未来はマリーゴールドという新天地で輝いた。

 ベルトを失い、どん底から這い上がる姿をマリーゴールドのファンに見せることで、青野の魅力はさらに増すはずだ。ジュリアからの激励メールを受けて戴冠した桜井が、どのようなチャンピオンになっていくのかも興味深い。そうして、マリーゴールドという新しい団体は歴史を紡いでいく。2人のライバル関係も続く。桜井と青野が次に対戦する時は、これまでとはまた違う関係性、違う見え方の試合になるはずだ。

取材・文●橋本宗洋
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