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格闘技・プロレス

「これがデスマッチの力です!」年間ベストバウト候補に推したい『CRAZY FEST』メインイベントの熱狂ぶり

橋本宗洋

2025.03.13

3WAYで行なわれたメインイベントは葛西が勝ち名乗りを受けた。写真:橋本宗洋

3WAYで行なわれたメインイベントは葛西が勝ち名乗りを受けた。写真:橋本宗洋

 葛西が竹田とデスペラードに薔薇を渡して始まった、因縁とは無縁のデスマッチ。デスペラードは蛍光灯を口で割られ、マスクを破られた上でハサミを突き立てられ、竹串の束を頭にぶっ刺される。ガラスボード2枚、どちらの攻撃もデスペラードが被弾。ガラスボードに投げられた時は「背中の皮膚ついてんのか」とすら感じたというから壮絶だ。ガラスの破片と粉を飲み込んでしまい、インタビュースペースでえづく場面も。
 

 それでも蛍光灯を抱えた相手へのトペ・コンヒーロなど恐れ知らずの闘いで会場を沸かせた。やられても立ち上がる、体を張り続ける。そのことで観客の心を掴むプロレスの醍醐味が、デスマッチではさらに増幅される。

 葛西のリバースクロスアーム式スティミュレイションで、デスペラードは3カウントを聞いた。バーブは葛西にマイクを渡されると「これがデスマッチの力です! これが世界最高のデスマッチです! この試合を見て、くじけた心が燃え上がりませんか? この試合を見て、明日からも生きていけませんか?」。

 死という言葉を冠しながら、見るものに生きる力を与える。それがデスマッチだ。葛西は結果として現IWGPジュニアヘビー級王者に勝利した。葛西はいわゆる“インディー”の選手だから、単純に考えて事件だ。

 そのことについて聞かれた葛西は言った。

「そうだったな。そのIWGPジュニアヘビーなんちゃらに挑戦する資格はあるんじゃねえか?」

 しかしこんな言葉も。

「そんなことはまったく関係ないくらい、エル・デスペラードという男の中の男から3つ取ったことに価値があるんだよ」

 あいつは「こっち側」の人間かもしれない。そう言ってデスペラードを称えた葛西。デスマッチのスペシャリスト2人との対戦はデスペラードにとって不利なものだ。しかし彼はリスクを承知で、誇りをもってIWGPのベルトを携え、デスマッチのリングに上がった。

 試合を組んだバーブ、闘った葛西、デスペラード、竹田。それぞれの心意気にこそ、ベルト以上の価値があった。年間ベストバウト、ベスト興行の有力候補だ。

 そして、バーブの“主戦場”の一つであるデスマッチ団体・FREEDOMSの若手たちが、セコンドとして使用済み凶器の処理を迅速かつ的確に行うことで“祭り”を支えていたことも記しておきたい。彼らがいるから、デスマッチファイターは生きて帰ることができる。

取材・文●橋本宗洋
【動画】デスペラード、葛西vsモスクリー、ホミサイドの一戦!

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