対抗に取り上げたいのは、クイーンカップ勝ち馬のエンブロイダリー(美浦・森一誠厩舎)だ。
クイーンカップを制した際に記録した恐るべき快時計からスピード馬と見られるだろうが、デビュー戦となった稍重の新馬戦(東京・芝1600m)では中団から追い込んで半馬身差まで迫る2着に食い込んだこともあり、パワーも兼備。期待の種牡馬としての売り出し中であるアドマイヤマーズ(父ダイワメジャー)は、自身が現役時代、朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)、NHKマイルカップ(GⅠ)のほか、日本よりやや時計がかかる香港マイル(G1、シャティン・芝1600m)を1着、3着としている。さらにその父ダイワメジャーは、パワー型のマイル~中距離馬として鳴らした名馬で、種牡馬としてはスピード能力が高いもの、パワーに優れたもの、またその両者を兼備したもの、さまざまなタイプの産駒を送り出している。
よって、エンプロイダリーを一介のスピード馬と見るのは間違いだろう。
3番手に挙げたいのは、アルテミスステークス(GⅢ、東京・芝1600m)を勝ったブラウンラチェット(美浦・手塚貴久厩舎)。前走の阪神ジュベナイルフィリーズは1番人気を裏切って16着に敗退。しかしこれは馬体重が前走比マイナス12㎏という数字が示す通り体調が下降していたのが敗因で、加えて初の長距離輸送の影響もあったはずだ。
その後は放牧を経て立て直しを図り、十分な調教本数を重ねながら、最終追い切り後の馬体重は448㎏と、前走の428㎏からしっかりと体を戻している。なおかつ輸送の影響を考慮して、今回は1週間前から栗東トレセンへ入厩。環境の変化に動じることもなく、順調に調整が進んでいる。
となれば、配当のメリットも含めて、阪神ジュベナイルフィリーズで1番人気に推された能力を見直す手だ。父キズナは安田記念2連覇、ヴィクトリアマイル(ともにGⅠ)を制したソングラインを出しており、母の父であるCongrats(コングラッツ)は、先のサウジカップ(G1)を制したフォーエバーヤングや、日本ダービー(GⅠ)やドバイシーマクラシック(G1)を勝ったダノンデサイルを出しており、底力も十分。体調が戻ったならば、見直すべき1頭だろう。
さて、12日時点で1番人気に推されているエリカエクスプレス(栗東・杉山晴紀厩舎)だが、ここは押さえまでに評価を下げた。稍重の新馬戦(京都・芝1600m)をラクに逃げ切り、フェアリーステークスでは先行差し切りで快勝した戦績を見ればもっと上位の評価をすべきかもしれない。
杉山調教師も「エピファネイア産駒の牝馬ということで、気性的な危うさを感じています」と認めているように、仕上げにはかなり気をつかっている模様。最終追いが単走となったことからも、そうした面がうかがえる。大観衆の中でリラックスしたレースができるのか、内枠がアダになりはしないかと、気になる部分を大いに残すので、ここは押さえにとどめておいた。
以下、押さえあたりを列挙する。稍重のきさらぎ賞(GⅢ、京都・芝1800m)で牡馬を相手に2着としたリンクスティップ(栗東・西村真幸厩舎)。阪神ジュベナイルフィリーズで4着とし、トライアルのフィリーズレビュー(GⅡ、阪神・芝1400m)を強烈な末脚で制したショウナンザナドゥ(栗東・松下武士厩舎)。不向きな流れのなか、クイーンカップで2着まで追い込んだマピュース(美浦・和田勇介厩舎)。阪神ジュベナイルフィリーズを2着としたビップデイジー(栗東・松下武士厩舎)。ここまでを幅広く狙ってみたい。
文●三好達彦
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クイーンカップを制した際に記録した恐るべき快時計からスピード馬と見られるだろうが、デビュー戦となった稍重の新馬戦(東京・芝1600m)では中団から追い込んで半馬身差まで迫る2着に食い込んだこともあり、パワーも兼備。期待の種牡馬としての売り出し中であるアドマイヤマーズ(父ダイワメジャー)は、自身が現役時代、朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)、NHKマイルカップ(GⅠ)のほか、日本よりやや時計がかかる香港マイル(G1、シャティン・芝1600m)を1着、3着としている。さらにその父ダイワメジャーは、パワー型のマイル~中距離馬として鳴らした名馬で、種牡馬としてはスピード能力が高いもの、パワーに優れたもの、またその両者を兼備したもの、さまざまなタイプの産駒を送り出している。
よって、エンプロイダリーを一介のスピード馬と見るのは間違いだろう。
3番手に挙げたいのは、アルテミスステークス(GⅢ、東京・芝1600m)を勝ったブラウンラチェット(美浦・手塚貴久厩舎)。前走の阪神ジュベナイルフィリーズは1番人気を裏切って16着に敗退。しかしこれは馬体重が前走比マイナス12㎏という数字が示す通り体調が下降していたのが敗因で、加えて初の長距離輸送の影響もあったはずだ。
その後は放牧を経て立て直しを図り、十分な調教本数を重ねながら、最終追い切り後の馬体重は448㎏と、前走の428㎏からしっかりと体を戻している。なおかつ輸送の影響を考慮して、今回は1週間前から栗東トレセンへ入厩。環境の変化に動じることもなく、順調に調整が進んでいる。
となれば、配当のメリットも含めて、阪神ジュベナイルフィリーズで1番人気に推された能力を見直す手だ。父キズナは安田記念2連覇、ヴィクトリアマイル(ともにGⅠ)を制したソングラインを出しており、母の父であるCongrats(コングラッツ)は、先のサウジカップ(G1)を制したフォーエバーヤングや、日本ダービー(GⅠ)やドバイシーマクラシック(G1)を勝ったダノンデサイルを出しており、底力も十分。体調が戻ったならば、見直すべき1頭だろう。
さて、12日時点で1番人気に推されているエリカエクスプレス(栗東・杉山晴紀厩舎)だが、ここは押さえまでに評価を下げた。稍重の新馬戦(京都・芝1600m)をラクに逃げ切り、フェアリーステークスでは先行差し切りで快勝した戦績を見ればもっと上位の評価をすべきかもしれない。
杉山調教師も「エピファネイア産駒の牝馬ということで、気性的な危うさを感じています」と認めているように、仕上げにはかなり気をつかっている模様。最終追いが単走となったことからも、そうした面がうかがえる。大観衆の中でリラックスしたレースができるのか、内枠がアダになりはしないかと、気になる部分を大いに残すので、ここは押さえにとどめておいた。
以下、押さえあたりを列挙する。稍重のきさらぎ賞(GⅢ、京都・芝1800m)で牡馬を相手に2着としたリンクスティップ(栗東・西村真幸厩舎)。阪神ジュベナイルフィリーズで4着とし、トライアルのフィリーズレビュー(GⅡ、阪神・芝1400m)を強烈な末脚で制したショウナンザナドゥ(栗東・松下武士厩舎)。不向きな流れのなか、クイーンカップで2着まで追い込んだマピュース(美浦・和田勇介厩舎)。阪神ジュベナイルフィリーズを2着としたビップデイジー(栗東・松下武士厩舎)。ここまでを幅広く狙ってみたい。
文●三好達彦
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