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格闘技・プロレス

上谷沙弥と中野たむの「敗者引退マッチ」だけではなかった…4.27横浜アリーナ大会がより深く心に刻まれる興行となったワケ【スターダム】

橋本宗洋

2025.05.01

IWGP女子王者を賭けた闘いは朱里が勝利。試合後、岩谷は退団を表明した。写真:橋本宗洋

IWGP女子王者を賭けた闘いは朱里が勝利。試合後、岩谷は退団を表明した。写真:橋本宗洋

 リアルな感情にエンタメを乗せる。あるいはフィクションの中にドキュメンタリーの要素がある。そこにプロレス独自の魅力がある。

 今大会がまさにそうだった。エンタメ的な展開がある一方で、タッグタイトルマッチで対戦した羽南と葉月にはリアルな確執があった。2人は同じユニット(STARS)。確執のきっかけは、葉月の後輩に対する厳しすぎる態度を羽南が批判したことだった。

 
 何も言わずに我慢していれば波風は立たない。しかしそれではSTARSもスターダムもよくならない。そう考えて、羽南は先輩を批判した。試合は羽南&飯田沙耶が葉月&コグマに勝って王座防衛。それでもわだかまりが完全になくなったようには見えなかった。だからリアルなのだとも言える。

 セミファイナルでワンダー・オブ・スターダム選手権試合を闘ったスターライト・キッドとAZMは新人時代からのライバル。2人が繰り広げたハイレベルな攻防の背景には、10代の頃から切磋琢磨してきた関係性がある。勝ったキッドがフィニッシュ前に出した技は、かつて打倒AZMのために開発したもの。技の名前はエターナル・フォー(永遠の敵)という。

 岩谷麻優vs朱里のIWGP女子タイトルマッチは、朱里が王座獲得。岩谷のV10を阻止した。昨年、同じ対戦で敗れている朱里は、IWGPのベルトに並々ならぬ闘志を燃やしていた。事実上の挑戦者決定戦と言われたSareeeとの一戦を前にした会見では、ベルトと岩谷への思いを泣きながら語っている。「ここまでの気持ちとは」とSareeeが驚くほどだった。まさに悲願の王座獲得だ。

 対する岩谷は、IWGPという最大のモチベーションを失った。スターダムでやれることはすべてやり尽くした。そんな思いもあり、大会翌日に退団を発表している。「スターダムのアイコンから女子プロレスのアイコンになります」と岩谷。事前に言葉にはしていなかったが、岩谷の決意としては「負けたら退団」だったのかもしれない。

 全部がそうだとは言わないが、そうした選手たちの思いがあった上でのマッチメイク。リアルな感情が伝わるからこそ、スターダム横浜アリーナ大会は深く心に刻まれるものとなった。

取材・文●橋本宗洋
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