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バレーボール

「チームを引っ張る存在になりたい」日本代表・高橋藍、イタリア挑戦2年目で深めた自覚と研ぎ澄まされた嗅覚【男子バレーVNL】

北野正樹

2023.06.12

フランスを下し4連勝して喜ぶ選手ら。写真:北野正樹

フランスを下し4連勝して喜ぶ選手ら。写真:北野正樹

 南部強化委員長がさらに指摘をするのが、メンタル面。

「試合の戦い方、運び方というところも冷静ですね。(力を)抜いているという意味ではないのですが、プレーの中でオン、オフを使い分けてエネルギーのかけ方も上手に出来ているように見えます。試合全体のゲームメークだけでなく、自分自身のプレースタイルもレベルアップしたように感じますね」
 

 イタリアで磨いたもう一つの武器は、研ぎ澄まされた「嗅覚」だ。
「取りたい1点や、取るべき点数を取るというのが、勝っていくためには重要になります。そこの嗅覚という部分は選手全員が感じる部分ですが、自分自身はそこを強く感じます。その1点を逃さない、その1点を取り切っていくということは、シーズンを通してやってきました」という。

 9日のセルビア戦では、セットカウント2-1で迎えた第4セット、コート外に飛び出した味方のレシーブしたボールを追い、右足を伸ばして後方のコートに戻した。24-18からのプレーだったが、高橋は「取らないといけないセット。そこで点を取られて5セット目に入ると、気持ちの面でしんどくなります。あの1点は、ボールを落とさないという勝つための嗅覚が働いたと思います」と、スーパープレーが生まれた背景を説明する。

 イラン戦でも高橋の口から「嗅覚」という言葉が飛び出したが、世界最高峰のリーグで身に付けた勝負勘は、五輪切符獲得にしのぎを削るゲームの中で確実に生かされている。

 来季も日体大に在学しながら、イタリア1部リーグセリエAでプレーを続ける。選んだチームは、ヴェロ・バレー・モンツァ。
「一つずつ自分のレベルを上げていきたかったという思いがありました。パドバのもう一段階上のチームといえば、モンツァなのかなという認識があって。石川選手のいるミラノに近く、ミラノダービーも面白いかなと。でも、一番は自分自身が活躍できる場所というか、新しい経験が出来たり、そういう環境が自分を強くしていくのかなというところがありました。かなりレベルアップするというより、本当に一歩ずつ上がっていくためにもモンツァを選びました」という。

 京都・東山高校時代の2020年2月に、日本代表に初めて選出され、日体大2年時に21年東京五輪に出場し、8強入りに貢献した。

「(東京五輪では先輩らに)助けてもらうシチュエーションがすごく多かったのですが、チームを救ったり欲しい時に点数が取ったり出来る、チームを引っ張る存在になりたい。しっかりと進化をして、パリ五輪の出場権を獲得することにフォーカスしていきたい」

 日本のエース・石川の背中を追った2年間。厳しい環境が、心技体をさらに充実させている。

取材・文●北野正樹

【著者プロフィール】
2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。関西運動記者クラブ会友。

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