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食と体調管理

「自分の可能性は自分にしか開けない」後悔を糧にして掴んだ夢のメダル。元体操日本代表・村上茉愛の挑戦と日々を支えた食習慣

元川悦子

2024.07.01

――体操選手は体重のコントロールが必須だと思いますが、食事メニューにきのこを活用することはありましたか?

 私はもともと便秘体質で、食物繊維を摂らないと腸内環境がすぐ悪くなりがちです。そのストレスが体調面にマイナス影響を及ぼすことも少なくない。そこでキノコをより多く摂取するようには心がけていました。

 自分の体は割と単純で、きちんと栄養素を取れば排出もスムーズになるタイプ。キノコを意識して摂るだけでも全然違いましたし、「最近、調子がよくないから、リセットしたいな」と思う時には、キノコを食べるようにはしていましたね。基本的には全部好きですけど、よく食べていたのはブナシメジですね。友達を呼んでバーベキューをやる時にはエリンギとか他のキノコも入れますよ。

――村上さんはどのように体重のコントロールをしていましたか?

 アスリートにはみんなベスト体重があると思います。それをキープする人もいれば、あえて増やしたり、減らしたりする人もいるでしょう。私の場合は同じ数字をキープすることだけ考えていた感じですね。

 競技特性を考えても、瞬間的に動く体操は他のスポーツに比べると消費カロリーが少ないので、私は日頃からパワーのつく食事を摂って、練習で減らすという意識で取り組んでいました。とはいっても、そこまで制限することなく好きなものを食べていましたし、外にご飯を食べに行くこともありました。疲れていたら自然とご飯とかエネルギー源を多く摂りたくなりますし、体のサインに従って食事をしていた感じです。

――そこまで徹底的に管理しなくても保てていたんですね。

 そうですね。中学から高校にかけての成長期の頃は少し体操が好きじゃなくなったこともあって、友達とご飯を外で食べに行く機会が多くなり、体重がかなり増えました。でもその後、特に大学生から引退するまでの7年間はずっと48キロでほぼ変化しませんでした。

――体が変化する思春期の頃は食事にどう向き合っていたんですか?

 正直言って、バランスのいい食事はしていなかったと思います(苦笑)。フルーツしか食べないとか、その場の軽さでどうにかしようとしていたのかな。もともと野菜は嫌いじゃないけど、積極的には手に取らなかったですし、やっぱり肉とかを好んで食べていましたね。アスリートとしての食事というのは今、考えると全然していなかったと思います。

――大学生以降は考え方が変わったということですか?

 はい。大学2年の時にリオデジャネイロ五輪に出て、選手村で食事を摂っていた時に、監督から「ちょっと来て」と言われて、マンツーマンの栄養講習を受けることになったんです。私が食べていたものが偏っていたからなんでしょうね。

「この1週間で食べたものを書きなさい」「あなたが緑黄色野菜だと思うもの、タンパク質だと思うものをかき出して」と言われて、実際にやってみたら、圧倒的に野菜が足りなかった。海外だと生ものはあまり摂らない方がいいと言われていたんですけど、火が通っている温野菜とかなら問題ないですよね。それもあまり摂取していなかったので、偏りが生じてしまったでしょう。

 そこからは食事や栄養バランスとしっかり向き合うようになりましたね。それが体重コントロールにもプラスに働いたと思います。

――最後にジュニアアスリートにアドバイスはありますか?

 やりたいと思ったことは、とりあえずやってみることが一番大事だと思います。
 やっぱりやる前に諦めてほしくない。諦めるという選択肢を持ってほしくないんです。自分の可能性は自分にしか開けないですし、実際、トライしてみたら、意外にもいい方向に行くかもしれない。何事も1回は挑戦すべきですし、自分の芯をしっかり貫いてもらいたいと強く思います。
 


村上茉愛/むらかみまい
1996年8月5日生まれ、神奈川県相模原市出身。
小平第3小学校―武蔵野東中学校―明星高校―日本体育大学―日体クラブ

3歳の時に母親に勧められ体操を始める。小学校時代から池谷幸雄体操倶楽部に所属し、数々のジュニア競技会で多くの優勝を飾り、14歳の時には全日本種目別選手権のゆかで優勝し脚光を浴びる。また、9歳の頃、阿川佐和子原作のTBS系スペシャルドラマ『ウメ子』 (2005年12月5日放送) に、薬師丸ひろ子、深田恭子等と共に主役の河合ウメ子役として出演した経歴を持つ。

2012年に明星高等学校に入学。同年の全日本種目別選手権のゆかで2度目の優勝を果たす。2015年に日本体育大学に入学し、2016年リオデジャネイロオリンピック団体総合に出場しメダル獲得にあと一歩と迫る4位入賞に大きく貢献した。
 
2017年はカナダ・モントリオールで行われた世界選手権種目別のゆかで、日本女子としては63年ぶりとなる金メダルを獲得。2018年はワールドカップ東京大会、全日本選手権個人総合で3連覇、NHK杯個人総合で2連覇。さらにカタール・ドーハでの世界選手権個人総合で日本女子初の銀メダルを獲得。2021年の全日本体操個人総合選手権とNHK杯でも連続優勝し、東京オリンピック代表の座を掴んだ。

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