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海外サッカー

“平穏時代の終焉”を告げたクラシコ、かつての緊張感が復活! ダイヤモンド型の中盤が機能したマドリーが試合を制し、バルサは軌道修正を迫られる

下村正幸

2025.10.28

マドリーはこのカマビンガの守備力が光った。(C)Getty Images

マドリーはこのカマビンガの守備力が光った。(C)Getty Images

「今回のクラシコは以前のように盛り上がった。物議を醸すプレーあり、試合終了後の両チームが入り乱れる乱闘あり、1週間を通じてバルセロナから入ってきた雑音に対する多くの報復行為あり……の大熱戦だった。ここ数年の平穏で論争もほとんどなかったクラシコとは違った」

 マドリードに本社を置くスポーツ紙『AS』のトマス・ロンセロ記者がこう振り返るように、ラミネ・ヤマルの「彼ら(レアル・マドリー)は盗むし文句を言う」という発言も燃料となって、今シーズンのクラシコ第1ラウンドは近年にない荒れ模様となった。大手ラジオ局『Cadena SER』の放送中には「ジョゼ・モウリーニョがマドリーを率いていた頃の熱狂が戻ってきた」との声も上がっていた。

 試合はマドリーが2-1で勝利。バルセロナは、「進むべき方向を見失い、擁護のしようがない、まさしく今シーズン序盤に見せている姿のまま」だった。「プレスがかからず、守備もできない」と『AS』のハビエル・シジェス記者は酷評する。懸念されていた極端なハイライン戦術の欠陥を露呈する結果となった。

 22分にキリアン・エムバペがまさにその裏のスペースを突いて先制点をマークしたが、マドリーOBのアルバロ・ベニート氏をはじめ多くの現地識者が戦術のポイントに挙げるのが、アンカーにオーレリアン・チュアメニ、左インサイドハーフにアルダ・ギュレル、右インサイドハーフにエドゥアルド・カマビンガ、トップ下にジュード・ベリンガムを配したダイヤモンド型のような中盤だ。
 
 中でも肝となったのがカマビンガで、ベリンガムとSBのフェデリコ・バルベルデとともに右サイドで崩しの核となり、前述の先制点もその形から生まれている。カマビンガの起用は中盤の守備強化の側面もあり、その煽りを受けたバルサは前半、劣勢を強いられ、単調な攻撃に終始した。バルサOBのフランシスコ・ホセ・カラスコ氏は、「ボール支配率が増えるだけで、相手の守備のギャップを突く形が作れなかった」と指摘している。

 マドリーは、ベリンガムが前述のカマビンガの後方支援を受けて1ゴール1アシストを記録。ギュレルも守備面で成長した姿を見せ、エデル・ミリトンは最終ラインを牽引した。途中交代で不満を爆発させ、チーム内で顰蹙を買っているヴィニシウスも、2点目をお膳立てするなど、個の活躍が光った。

 バルセロナの二大スポーツ紙『SPORTO』のジョアン・ベイルスと、『MUNDO DEPORTIVO』のサンティ・ノジャの両編集長は、「ディテールの差が勝敗を分けた」と口を揃えた。前者が「今のバルサには、自分たちの可能性を信じ切れない心の迷いがある」と述べれば、後者は「後半アディショナルタイムにロナルド・アラウホがダニエル・カルバハルに倒された場面は明らかなPKだった。マドリーもバルサもどっちもどっちだ。本来は、引き分けが妥当な結果だろう」と言及する。

 そして前出のシジェス氏は、「マドリーのシャビ・アロンソは、見栄えはしないが勝ち続けることで信用を取り戻し、バルサのハンジ・フリックは軌道修正を迫られた」と総括した。

文●下村正幸

【動画】ホームのマドリーが僅差でまず1勝。クラシコ第一弾のハイライト
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