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海外サッカー

「司令塔クロースOUT・点取り屋エムバペIN」でマドリーのサッカーはどう変わる? ヴィニシウス&ロドリゴの2トップ採用は、エムバペ加入を見越したリハーサルだった!?

下村正幸

2024.06.06

ヴィニシウスとエムバペの2トップはうまく機能するか。(C)Getty Images

ヴィニシウスとエムバペの2トップはうまく機能するか。(C)Getty Images

 サッカー界には「勝っているチームはいじるな」という格言がある。しかし、今シーズン、ラ・リーガとCL(チャンピオンズリーグ)の2冠を達成したレアル・マドリーの場合はそうはいかない。司令塔のトニ・クロースが今夏に祖国ドイツで開催されるEUROを最後に現役引退することを表明し、かれこれ12年前から獲得を目指していた点取り屋のキリアン・エムバペがついに加入するからだ。

 強弱、緩急を組み合わせ、攻撃のテンポを司っていた唯一無二のゲームメーカーと、スピード、フィジカル、決定力とも規格外の怪物FWとのチェンジだ。カリム・ベンゼマの退団とルカ・モドリッチのベンチメンバーへの降格が重なり、これまで以上に縦への推進力と強度を重視する度合いが高まっていたマドリーのフットボールは新シーズン、さらにその傾向が加速するのは間違いないだろう。

 最大の見どころは、やはりエースに成長したヴィニシウス・ジュニオールとエムバペの共演だ。名目上はウイング、FWとポジションは異なるが、エムバペは左サイドに流れてボールを受けるプレーを得意にしているため、ヴィニシウスとプレーエリアが重なる。これはかねてから指摘されていた問題でもある。
 
 しかし今シーズン、レギュラークラスの9番不在の中、「そこ(FW)でプレーできるなんて想像もしていなかった。最初はとても苦労したけどね。アンチェロッティには感謝だよ」と本人も語っているように、ヴィニシウスが頻繁に中に絞ることでFWに求められるパスを呼び込む動きや判断力において格段の進歩を遂げ、もはや単なるウイングではなくなった。一方、エムバペはCFを主戦場にプレーし、こと得点面においては結果を残した。

 すなわちエムバペの加入が遅れたことで、逆に2人の融合をスムーズにする下地が出来上がったわけだ。現地では、ヴィニシウスとロドリゴが2トップを形成する4-4-2の採用は、エムバペの加入を見越したリハーサルの意味合いもあったと指摘する声もあるほどだ。実際、エムバペとロドリゴを入れ替えるだけで、システムをいじる必要はない。
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