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海外サッカー

「以前よりも練習内容が濃くなった」新生バルサ好発進の裏側でシャビ前監督批判が“ブーム”に! メディアや会長だけでなく優等生ペドリからも…

下村正幸

2024.09.10

ペドリ(中央)も間接的に前監督批判と取れるコメントを発している。(C)Getty Images

ペドリ(中央)も間接的に前監督批判と取れるコメントを発している。(C)Getty Images

 ハンジ・フリック率いる新生バルセロナのスタートダッシュ成功で割を食っている人物がいる。前監督のシャビだ。スペイン紙『スポルト』の元編集長、エルネスト・フォルチ氏が同紙のコラムの中で「今、シャビを“口撃”することはブームにすらなっている。シャビは、昨シーズンの失敗の責任を押し付けるための公に認められた悪役だ」と強調するように、シャビを批判する声がここにきてあちこちから聞こえてくる。

 なかでも驚きを持って受け止められたのが、以下のペドリの言葉だ。

「以前よりもずっと練習で追い込むことができている。内容がとてもハードで、それが試合にも表われている。おかげで70~80分を経過してもパフォーマンスが落ちることがなくなった。フィジカルレベルを維持することができている」

 優等生として知られる彼は、発言も常に紳士的だ。しかしこの発言に関しては、フリック流の指導を称賛することでシャビ時代の手法を暗に蔑む格好になっている。

 フォルチ氏は、「ペドリのようなスキャンダルとは無縁の選手が、シャビに対して辛辣な言葉を浴びせるとしたら、それは自分自身の発言がドレッシングルームでもパルコ(貴賓席)でも歓迎されるだろうことを知っているからだ」と指摘する。実際、「10年前と同じ練習をしていていいはずがない」(ロベルト・レバンドフスキ)、「以前よりも練習内容が濃くなった」(マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン)と、他の選手からも同様の声が上がっている。
 
 ちなみにジョアン・ラポルタ会長も、シャビ時代のバルサは60分以降、パフォーマンスが落ちる傾向があると同様の指摘を監督が交代した直後の今年6月の時点でしていたが、今回も “ブーム”に乗り遅れることなく、「ハンジは言い訳をせず、今あるものでやり繰りする。彼は勝者のメンタリティーを持ち、素晴らしいプロフェッショナルだ」と現監督を称賛することでシャビに一発かましている。

 もちろんシーズンはまだ始まったばかりだ。なかには「フリックの働きぶりを称賛することと、シャビが率いていた過去2シーズン半の仕事を思い出すことは、まったく別物だ。リオネル・メッシが去り、あてもなく彷徨っていたチームを引き受けた人物に都合の悪いことを押し付けるのは、余りにも浅はかで、不公平だ。今季バルサがバイクのようなスタートダッシュを切れたのは、シャビがレガシーとして残したポジティブなものをすべて活用したうえで、必要な変更を加えて、自分の色を出す重要性をフリックが理解したからである」と、『スポルト』紙のイバン・サン・アントニオ記者のようにシャビを擁護する声も出ている。

 とはいえ、バルサはクライフ派と反クライフ派に代表されるように、求心力のある人物を中心に据えて対立構造を煽って分断を生むことにかけては、エキスパートのようなクラブである。今回も新たに招聘した外様のフリックが成果をあげる中、シャビを悪者に仕立て上げる構図ができ上がっている。“場外戦”に選手たちがこぞって参戦したのは異例のケースであるが、この種の泥仕合はいわば通常運転というわけだ。

 フォルチ氏は、コラムの最後をこう締めくくっている。「普通のクラブなら、今を祝うために、過去を敵対視する必要はないはずだ。しかし、親愛なる読者の皆さん、ここはバルサだ」

文●下村正幸

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