近年のレアル・マドリーの補強戦略における最大の特徴は、徹底したターゲットの絞り込みにある。キリアン・エムバペやジュード・ベリンガムのような大物、ヴィニシウス・ジュニオールやエンドリッキのような超有望株の獲得に贅沢な資金をつぎ込み、その他はアントニオ・リュディガー、ダビド・アラバに代表されるようなフリーエージェントの選手に狙いをつけてピンポイントで弱点を補っている。この本命だけに絞った補強戦略をスペイン紙『エル・パイス』は、「厳選補強」と呼んでいる。
今夏に退団したナチョの後釜獲得に動かなかったのも、マンチェスター・ユナイテッドとの争奪戦で敗れたレニー・ヨロを除いて、その補強戦略に合致したターゲットが見つからなかったからだ。ヨロの獲得失敗を受けて待望論が高まっていたカンテラ期待のホープ、ジョアン・マルティネスがその後、練習中に左膝の前十字靭帯を断裂し、グラナダから復帰のヘスス・バジェホが首脳陣の信頼を得られていない状況でも、方針は変わらなかった。
おかげでカルロ・アンチェロッティ監督は、開幕以来、リュディガーとエデル・ミリトンをフル稼働させながら、本職がセントラルMFのオーレリアン・チュアメニを昨シーズン同様にCBで起用することで何とかやり繰りしているが、その中で2度、DFの補強の必要性を訴える周りの声がとみに高まったタイミングがあった。
1度目はダニエル・カルバハルが、今シーズン絶望とも言われる負傷を負った今月上旬だ。大手ラジオ局『カデナ・セール』でスポーツ番組のMCを務めるヘスス・ガジェゴ氏は当時、「CBを補強するしかないだろう。必要に応じてSBもこなせるタイプが理想だ。すべての選択肢を知るために市場をくまなく調査し、その時のために準備をしておかなければならない。獲得に動くタイミングは、現有戦力のままではトップレベルで戦えないと判断すれば1月、そうでなければ6月だ」と見解を述べていた。
内容の通り、1月の補強を強く主張しているわけではない。しかしより切迫感をにじませて補強の必要性を訴えるのが、前述の2度目のタイミングとなるクラシコ敗北(0-4)の後だ。マドリディスタであることを公言してはばからないスペイン紙『AS』の名物記者、トマス・ロンセロ氏は、直後に配信されたコラムで次のようにその思いを綴っている。
「現有戦力を最大限に活用することをモットーにしているマドリーが、冬の移籍市場に目を向けないのは十分に知っている。しかし、現実を変えるのは困難で、カルバハルの負傷とアラバの回復を巡る不透明感を鑑みれば、CBと右SBをこなす万能型DFを獲得する必要があるのはもはや明らかだ。ミリトンとリュディガーは疲労の色を見せ始めているし、チュアメニのCB起用は加入以来の低調なパフォーマンスも合わせて考えれば、納得半分、疑問半分だ」
ちなみにロンセロ氏が触れているアラバは、昨年12月に左膝の前十字靭帯を断裂し、いまだに復帰のメドが立っていない状況だ。
ロンセロ氏のコラムの内容に相槌を打つように、『AS』紙の電子版に「1月の移籍市場で動くのはもはやマスト事項」と題した記事が公開。獲得候補には、本職が右SBでいわゆる万能型DFではないが、来年6月でリバプールとの契約が満了するトレント・アレクサンダー=アーノルド、サウジアラビアのアル・ナスル所属のCBで欧州復帰を熱望していると伝えられるエメリック・ラポルト、元マドリーで、保有権の50パーセントを手元に残しているラツィオのCBマリオ・ヒラの3人の名前を挙げている。
確かに昨シーズン、マドリーはミリトンとアラバが長欠する中、冬の移籍市場に見向きもすることなくラ・リーガとチャンピオンズリーグ(CL)の二冠を達成した。しかし今シーズンはバルサが快進撃を続けており、状況的にはより厳しくなっている。ただ『AS』紙の最新情報によると、クラブ関係者はクラシコ敗北後も1月の補強見送りというクラブの方針を変えるつもりはないと語っているようだ。
文●下村正幸
【動画】バルサに大敗を喫したクラシコのハイライト
今夏に退団したナチョの後釜獲得に動かなかったのも、マンチェスター・ユナイテッドとの争奪戦で敗れたレニー・ヨロを除いて、その補強戦略に合致したターゲットが見つからなかったからだ。ヨロの獲得失敗を受けて待望論が高まっていたカンテラ期待のホープ、ジョアン・マルティネスがその後、練習中に左膝の前十字靭帯を断裂し、グラナダから復帰のヘスス・バジェホが首脳陣の信頼を得られていない状況でも、方針は変わらなかった。
おかげでカルロ・アンチェロッティ監督は、開幕以来、リュディガーとエデル・ミリトンをフル稼働させながら、本職がセントラルMFのオーレリアン・チュアメニを昨シーズン同様にCBで起用することで何とかやり繰りしているが、その中で2度、DFの補強の必要性を訴える周りの声がとみに高まったタイミングがあった。
1度目はダニエル・カルバハルが、今シーズン絶望とも言われる負傷を負った今月上旬だ。大手ラジオ局『カデナ・セール』でスポーツ番組のMCを務めるヘスス・ガジェゴ氏は当時、「CBを補強するしかないだろう。必要に応じてSBもこなせるタイプが理想だ。すべての選択肢を知るために市場をくまなく調査し、その時のために準備をしておかなければならない。獲得に動くタイミングは、現有戦力のままではトップレベルで戦えないと判断すれば1月、そうでなければ6月だ」と見解を述べていた。
内容の通り、1月の補強を強く主張しているわけではない。しかしより切迫感をにじませて補強の必要性を訴えるのが、前述の2度目のタイミングとなるクラシコ敗北(0-4)の後だ。マドリディスタであることを公言してはばからないスペイン紙『AS』の名物記者、トマス・ロンセロ氏は、直後に配信されたコラムで次のようにその思いを綴っている。
「現有戦力を最大限に活用することをモットーにしているマドリーが、冬の移籍市場に目を向けないのは十分に知っている。しかし、現実を変えるのは困難で、カルバハルの負傷とアラバの回復を巡る不透明感を鑑みれば、CBと右SBをこなす万能型DFを獲得する必要があるのはもはや明らかだ。ミリトンとリュディガーは疲労の色を見せ始めているし、チュアメニのCB起用は加入以来の低調なパフォーマンスも合わせて考えれば、納得半分、疑問半分だ」
ちなみにロンセロ氏が触れているアラバは、昨年12月に左膝の前十字靭帯を断裂し、いまだに復帰のメドが立っていない状況だ。
ロンセロ氏のコラムの内容に相槌を打つように、『AS』紙の電子版に「1月の移籍市場で動くのはもはやマスト事項」と題した記事が公開。獲得候補には、本職が右SBでいわゆる万能型DFではないが、来年6月でリバプールとの契約が満了するトレント・アレクサンダー=アーノルド、サウジアラビアのアル・ナスル所属のCBで欧州復帰を熱望していると伝えられるエメリック・ラポルト、元マドリーで、保有権の50パーセントを手元に残しているラツィオのCBマリオ・ヒラの3人の名前を挙げている。
確かに昨シーズン、マドリーはミリトンとアラバが長欠する中、冬の移籍市場に見向きもすることなくラ・リーガとチャンピオンズリーグ(CL)の二冠を達成した。しかし今シーズンはバルサが快進撃を続けており、状況的にはより厳しくなっている。ただ『AS』紙の最新情報によると、クラブ関係者はクラシコ敗北後も1月の補強見送りというクラブの方針を変えるつもりはないと語っているようだ。
文●下村正幸
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