史上初の昨年の甲子園覇者による決戦に向かう電車の中で、動画アプリ『TikTok』を見ていると、阪神タイガースの前半戦を総括する岡田彰布前監督と、鳥谷敬の対談の様子が流れてきた。話題は継投についてで、岡田前監督の指摘はまるでこれからの試合を暗示しているかのようだった。
「継投って人数が少ない方がいいねん。オールスターでも継投するけど、誰か悪いピッチャーが必ず出てくるやろ」
起用人数が少ない継投の方が勝ちやすいという指摘はごもっともだなと思った。
大会第8日の第1試合は、京都国際vs健大高崎。昨年の春夏の王者が対決する大注目の一戦は、序盤から果敢に相手投手を捉えた京都国際が6対3で健大高崎を制して3回戦進出を決めた。
ともに、昨年の決勝戦で投げた投手が今年もチームを引っ張るという対戦だったが、健大高崎は事情が違った。青柳博文監督は言う。
「1人の投手が球数150球も投げるのは負担がかかる。そうしてしまうと将来を潰してしまうので、100球とか80~90球ぐらいを目処で使っていきたいと思っていました。群馬県大会はそうしてきたので、決勝のイメージで戦えるかなと思ってました」
プロ注目の156キロ右腕・石垣元気を擁しながらも群馬大会から継投で戦ってきたのは、故障のリスクを回避するためだった。
この日の先発は下重賢慎が務めるも、3回4失点で降板。指揮官も「しぶとい打線」と評価した京都国際打線は序盤から食らいついてきた。初回にスクイズなどで2失点。3回表に相手のミスに乗じて3得点を挙げた逆転したが、即座にひっくり返された。
4回から左腕の山田涼太にスウィッチ。しかしこれもうまくいかず、2死一、三塁のピンチを招いたところで佐藤龍月が登板した。佐藤はこのピンチを抑えたものの、5~6回に1点ずつを失うなど、京都国際打線を止めることはできなかった。
7回からは石垣が満を待して登板し、最速155キロを計測するなどスタンドをざわつかせた。2イニングを2安打無失点に抑える好投を見せたが、それまでの6失点が大きく響いた形だ。
「勝ち上がれば石垣の先発も考えたんですけど、今日は京都国際打線がしぶといので石垣一人では無理だなと。そういう中で後半勝負かなと思って読んでたんですけども、自分自身の読みが甘かったかなと思います」
青柳監督はそう言って唇を噛んだ。継投策はやはり難しく、京都国際打線の痛打をたびたび浴びて、エースの持ち味を発揮することなく敗れてしまった。
不思議なことではある。投手は自己成長を目指し、身体を作って投球のレベルを上げる。昨今のトレーニング革命やスキルの取り組みも相まってピッチャーの高速化は進んだ。その中で石垣は150キロを優に超えるボールが投げられるようになったのに、思うように登板できないのだ。
「継投って人数が少ない方がいいねん。オールスターでも継投するけど、誰か悪いピッチャーが必ず出てくるやろ」
起用人数が少ない継投の方が勝ちやすいという指摘はごもっともだなと思った。
大会第8日の第1試合は、京都国際vs健大高崎。昨年の春夏の王者が対決する大注目の一戦は、序盤から果敢に相手投手を捉えた京都国際が6対3で健大高崎を制して3回戦進出を決めた。
ともに、昨年の決勝戦で投げた投手が今年もチームを引っ張るという対戦だったが、健大高崎は事情が違った。青柳博文監督は言う。
「1人の投手が球数150球も投げるのは負担がかかる。そうしてしまうと将来を潰してしまうので、100球とか80~90球ぐらいを目処で使っていきたいと思っていました。群馬県大会はそうしてきたので、決勝のイメージで戦えるかなと思ってました」
プロ注目の156キロ右腕・石垣元気を擁しながらも群馬大会から継投で戦ってきたのは、故障のリスクを回避するためだった。
この日の先発は下重賢慎が務めるも、3回4失点で降板。指揮官も「しぶとい打線」と評価した京都国際打線は序盤から食らいついてきた。初回にスクイズなどで2失点。3回表に相手のミスに乗じて3得点を挙げた逆転したが、即座にひっくり返された。
4回から左腕の山田涼太にスウィッチ。しかしこれもうまくいかず、2死一、三塁のピンチを招いたところで佐藤龍月が登板した。佐藤はこのピンチを抑えたものの、5~6回に1点ずつを失うなど、京都国際打線を止めることはできなかった。
7回からは石垣が満を待して登板し、最速155キロを計測するなどスタンドをざわつかせた。2イニングを2安打無失点に抑える好投を見せたが、それまでの6失点が大きく響いた形だ。
「勝ち上がれば石垣の先発も考えたんですけど、今日は京都国際打線がしぶといので石垣一人では無理だなと。そういう中で後半勝負かなと思って読んでたんですけども、自分自身の読みが甘かったかなと思います」
青柳監督はそう言って唇を噛んだ。継投策はやはり難しく、京都国際打線の痛打をたびたび浴びて、エースの持ち味を発揮することなく敗れてしまった。
不思議なことではある。投手は自己成長を目指し、身体を作って投球のレベルを上げる。昨今のトレーニング革命やスキルの取り組みも相まってピッチャーの高速化は進んだ。その中で石垣は150キロを優に超えるボールが投げられるようになったのに、思うように登板できないのだ。