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元DeNA田中健二朗、NPB復帰を本気で目指した2年間は同僚たちの心に何を刻んだか「12球団に戻る気持ちは他の誰よりも強かった」【くふうハヤテ】

萩原孝弘

2025.09.29

今季限りでの引退を表明している田中。最後のマウンドは三者凡退で有終の美を飾った。写真:萩原孝弘

今季限りでの引退を表明している田中。最後のマウンドは三者凡退で有終の美を飾った。写真:萩原孝弘

☆涙のラストマウンド

 まだ夏の暑さが残る清水のグラウンド。46番を背負いし左腕が、現役生活ラストのマウンドへ向かった。スタンドからの拍手に歓声、また歴代のタオルやユニホームが掲げられる中、田中健二朗は貫禄の2奪三振の三者凡退で最後の真剣勝負を終えた。中継ぎとしていつものように任務を全うし、ベンチに帰る田中。いつもと違ったのは、その勝ち気な目が赤く潤んでいたことだけだった。

 2007年の選抜で常葉学園菊川高のエースとして優勝に導くと、2008年には高校生ドラフト1巡目で横浜ベイスターズに入団。主に中継ぎとして長年ブルペンを支え続けていたが、23年に構想外となり24年にくふうハヤテベンチャーズに活躍の地を求めた。2年間NPB復帰を目指して結果も残していたが、残念ながら吉報は届かず、今季限りでの引退を決意した。

 しかし引退セレモニーの第一声が「めちゃくちゃ正直なことを言うと、まだまだ投げたかったし、まだまだ勝負の世界にいたかったし、大好きな野球をやり尽くしたかったです」だったことからも、本心ではまたあの輝く場所で腕を振りたかったとの思いも滲ませた。
 
☆産まれたばかりの「くふうハヤテ」に残した財産

 NPBへ戻る。明確な目標があったが故、今季がラストチャレンジと自身で期限を決めた田中。時間の制限もある中で、自身のブラッシュアップにフォーカスすることは当然の取り組みとなる。

 だが田中健二朗という男には“求心力”がある。ベイスターズ時代から若手に慕われ、今年ブレイクした宮城滝太も「健二朗さんの分まで頑張らないと」と言葉に力を込めるなど、未だにその影響力は絶大。その力は、くふうハヤテでも発揮されていた。

 くふうハヤテベンチャーズ静岡の誕生時に「最初に声をかけさせてもらったのが田中健二朗選手でした。どうしても来てもらいたかったんです」と池田省吾社長が明かすように、野球の実力はもちろん、その他の部分も含めた彼の力は、産まれたての球団には必要だった。そしてその存在は、やはり大きかった。

 赤堀元之監督も「ハヤテのために投球してくれましたし、後輩たちの楯になって、いろいろなことをアドバイスしてくれていた部分もあります。自分がやれば下も付いてくるというイメージですかね」とプロの生き様を背中で見せていたと回想。一線級で投げ続けてきた気構えを間近で感じられたことは「若い選手にとっては全然違ったと思います」と大きな刺激になったと頷いた。
 
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