山本由伸（ロサンゼルス・ドジャース）が現地10月25日、トロント・ブルージェイズとのワールドシリーズ第２戦に先発した。９回を４安打８奪三振、１失点の105球で投げ切り２試合連続完投勝利を挙げた。対戦成績を１勝１敗のタイに戻した日本人右腕の快投に米重鎮記者も唸った。

　米全国紙『USA TODAY』を代表する重鎮記者でMLBに精通するボブ・ナイチンゲール氏は山本が2001年のカート・シリング（アリゾナ・ダイヤモンドバックス）以来となるポストシーズン２戦連続完投を達成すると、約5400文字以上に渡る長文記事を掲載。「ヨシノブ・ヤマモトはどうやったら、こんな快挙を成し遂げられるのか？  ドジャースは３億2500万ドル（約463億円）の男に言葉を失う」と銘打ち、日本人エースの好投を時系列で追った。

　先制点をもらった直後の立ち上がりは２本の安打で無死一、三塁のピンチを招いた山本だったが、今ポストシーズン最多６本塁打を放つ主砲ブラディミール・ゲレーロJr.を迎えたところでギアチェンジ。スプリット中心に攻めて追い込むと、最後は緩いカーブで空振り三振。続くアレハンドロ・カークを一直、ドールトン・バーショを123キロのカーブで見逃し三振にピシャリ。無失点で切り抜けた。

　３回に犠飛で同点にされたが、それ以降はブルージェイズ打線を圧倒。１本もヒットを与えず一塁ベースすら踏ませぬ見事なピッチング。終盤８回に入っても球威は落ちず、９番アンドレス・ヒメネスを空振り三振に仕留めると、初回に二塁打を浴びたジョージ・スプリンガーを154キロの直球で空振り、続くネーサン・ルークスを外角低め155キロの直球でズバっと見逃し。三者連続三振に斬って取り、９回のマウンドもあっさり三者凡退で締めた。

　ナイチンゲール氏によると、ワールドシリーズの大舞台で20人連続アウトに打ち取ったのは1956年のドン・ラーセン（完全試合）以来。「ヤマモトは99年間でわずか２人目の快挙を飾った」と偉大な記録に興奮を隠せなかった。
  　さらに同氏は試合後、複数のドジャース戦士らに取材。山本の快投についてドジャース一筋18年目のクレイトン・カーショウは「ヨシを形容する言葉は足りないよ。複数の先発で110球未満の完投なんて驚異的だ」と称賛。３度のサイ・ヤング賞左腕も圧巻のピッチングに舌を巻いた。

　一塁を守ったフレディ・フリーマンは「ヨシの投球スタイルは完璧だ。無駄な動きがなく、非常に効率的だった」とコメント。デーブ・ロバーツ監督も「今日のヨシは140球でも投げられただろう。先発投手が６、７、８回、そして９回まで投げられるのは素晴らしい」と最後まで絶賛し続けた。

　一方、敗れたブルージェイズ側も山本の圧倒的な投球に脱帽だった。１番のスプリンガーは「ヤマモトは信じられないほど、すごかった。エリート選手が素晴らしい内容で試合を支配した」と語り、攻略するには至難の業だったと振り返った。

　山本は今ポストシーズンで３勝１敗、防御率1.57とズバ抜けた成績を残している。ナイチンゲール氏は「３億2500万ドルの契約に見合う、いやそれ以上の価値ある働きを見せてくれた」と綴り、ワールドシリーズで異彩を放つ山本の姿に感服して記事を締めくくった。

　メジャー２年目で驚異的な進化を示している山本。大舞台で躍動するドジャースの背番号18の存在は頼もしい限りだ。

構成●THE DIGEST編集部

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