東北楽天ゴールデンイーグルスの元監督の平石洋介氏が、初の著書「人に学び、人に生かす。」を出版。11月17日に行なわれた記念イベント後に、自身の選手生活での後悔を語った。

　PL学園高、同志社大、トヨタ自動車とアマチュア球界の名門チームで活躍し続けた平石氏は、2004年に楽天からドラフト７巡目で指名を受けてプロ入り。NPBでは６年間プレーしたが、定位置を確保できずに11年限りで現役を引退した。

　指導者に転身して以降は楽天で監督を務め、福岡ソフトバンクホークスと埼玉西武ライオンズでコーチを託されてきた。そのなかで、自分のような選手を作らないようにという点も心掛けているという。

　アマチュア時代から高い技術と抜群のリーダーシップに定評があり、1980年度生まれのいわゆる“松坂世代”屈指の有名選手だった自身がプロで思うような結果を出せなかった点を強調する真意を尋ねると、平石氏はこう答えた。

「もっとやれると思って入りました。全く歯が立たなかった訳でもないのですけど、行動がブレてしまった自分に、ものすごく後悔があるんです。それがなければ結果が残ったのかは分からないんですけど、結局、誰も責任を負ってくれないというか、自分の人生は、他の人が一生責任持ってくれるわけではないので、現役時代もそうですね」
  　そして、当時の苦悩を、以下のように振り返る。

「僕は技術的なところで、当時の指導者の方から『これはダメだ』『あれはダメだ』『こうしろ』『ああしろ』って言われていた。これは本にも包み隠さずに書いていて。自分も試合に出たかったので、納得がいかないまま、『そうなったら、こうなる』って言われたけど、『いや、そうなったら、こうならんやろ』と思いながらも、自分を曲げてしまったところがあって、そこは当時の自分にとって、ものすごく大事な部分で。でも使ってもらわないと、１軍にいないと。プロ野球選手は２軍でいくら頑張っても意味がないと思って、じゃあ１軍に残るためにと、指導者の方の言う通りに変えて」

「でも、そこはキーの部分だったので、全く訳が分からないバッティングになっていて。『結果が出なくても、そこは理解するから』と言われても、２、３日後にはすぐに２軍とか、そういうようなことがあって、終わってみたら『何で納得がいかないのに自分を変えてしまったんやろ』って。こうやったらダメだというのは多少はありますけど、どんな形でも打てる可能性はありますので。ものすごく後悔があります」

　同イベントの参加者からのQ＆Aコーナーで、指導の土台になるのは選手への愛情だと断言した平石氏。自身の悔しい思いを真正面から受け止め、後進が同じような境遇に陥らないように導く――。38歳の若さで楽天の監督に抜擢された一流の指導者の心得を、垣間見れた気がした。

取材・文●野口一郎（THE DIGEST編集部）

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