MLBのウィンターミーティング（WM）が現地12月10日に閉幕した。４日間の日程で行なわれ、移籍市場の注目選手を巡り様々なトピックを生んできた。そのビッグイベントについて、米誌『Sports Illustrated』はメジャー30球団を「勝者」「敗者」とすみ分けし、ここまでの補強策を独自にジャッジした。

　同メディアがまず「勝者」に挙げたのが王者ロサンゼルス・ドジャースだ。ニューヨーク・メッツからFAとなっていたエドウィン・ディアズを３年総額6900万ドル（約108億円）で獲得した。「ワールドシリーズ３連覇を狙う球団にとって、シュガー（ディアズの愛称）は９回を任せる存在になる」と、メジャー通算253セーブを挙げる最強右腕を新守護神に据えると見通した。

　ドジャースは昨季オフ４年総額7200万ドル（約108億円＝当時）でタナー・スコットと大型契約。鳴り物入りで入団したが、レギュラーシーズンは61試合で１勝４敗23セーブ。57イニングで防御率4.74とクローザーとしての数字は物足らず、球宴明け以降は10度のセーブ失敗と精彩を欠く場面が多々あった。ポストシーズンはNLDSまではロースター入りしていたが、結局登板機会がないまま左腕は離脱した。

　不振が目立ったスコットに代わる大物リリーバーの獲得成功について同メディアは「アンドリュー・フリードマン編成本部長は、大きなブルペン投資を重ねた」と高く評価。ディアズ、スコットと左右のリリーフ投手を揃えたことで、「今後３年間で救援２人に年4000万ドル近くを投じるのは、決して賢い戦略とは言えない」としながらも、「それを実行できる球団は限られており、ドジャースはそのひとつだ」と豊富な資金力だからこそ可能にできる贅沢な補強は、WMの「勝者」だと断言した。

　勝者は他にも、ピート・アロンソ（前ニューヨーク・メッツ）獲得に成功したボルティモア・オリオールズ。今季ナ・リーグのセーブ王ロベルト・スアレス（前サンディエゴ・パドレス）をはじめ積極的なブルペン強化を行なったアトランタ・ブレーブス、WMでドラフト全体１位指名権を得たシカゴ・ホワイトソックスが並んだ。
  　そして「敗者」には、“スティーブ・コーエンとデービッド・スターンズ”という名前が記されたニューヨーク・メッツだ。『Sports Illustrated』は、アロンソ以外にディアズがドジャース、マーカス・セミエンとの交換でブランドン・ニモをテキサス・レンジャーズへトレードするなど主力選手の流出が止まらない激震オフの動向を不安視。「オールスター２度の救援右腕デビン・ウィリアムズ（前ニューヨーク・ヤンキース）とセミエンを加えても、好転していると信じさせるには不十分だ。さらなる動きはあるだろうが、それが実現するまで、メッツの現状を前向きに語るための材料は乏しい」と論じている。

　その他の敗者は、大物獲得が囁かれながら目立った補強がないピッツバーグ・パイレーツとサンディエゴ・パドレス。課題の打線強化が手つかずとなっているボストン・レッドソックスを挙げている。

　WMの総括として様々な見方があるものの、まだまだ序盤戦といえるストーブリーグ。今オフはメジャー球団からの評価も高い村上宗隆、岡本和真、今井達也、髙橋光成の４選手もメジャー挑戦を表明しており、日本人選手への関心は例年以上に高い。ここから先も各球団の補強策に引き続き注目だ。

構成●THE DIGEST編集部

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